【レビュー】腸内細菌について知りたいなら『腸科学』は必読の書。


『腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方』を読みました。

アメリカに住む研究者夫婦によって書かれた本で、最新の研究成果をもとに、腸内細菌と健康との関係がわかりやすく解説されていました。


◆感想・レビュー


「健康本」というより「科学本」


日本で腸内細菌についての本というと、「腸内細菌を増やすと病気が治る」、「〇〇を食べておなかを丈夫にしよう」といった健康本ばかりです。

そうした本もためになって面白いのですが、根拠があいまいで、いまいちピンときません。

それに対して『腸科学』では、腸内細菌とは何か、人にどんな影響をもたらすのかが科学的な視点で書かれています。

もちろん、健康や病気の話も書かれていますが、根拠となる論文が出典として示されていて、いわゆる「健康本」より一歩踏み込んだ内容です。

さすが、アメリカの研究者が書いた本だけあります。「そこが知りたかった!」という情報が満載でした。

「腸内細菌ってよく聞くけど、実際のところよくわからない」と疑問に思っている人におすすめです。


わかっていないこともある


『腸科学』には、腸内細菌叢が一生の間にどう変化するのか、体に入ってきた菌が外に出ていくまでの過程など、「そんなことまでわかっているのか!」と驚くことがたくさん書かれていました。

その一方で、どの種類の菌をどれくらい摂れば病気に効果があるか、という具体的なことはまだわかっていないようです。

腸内細菌も生き物なので、環境の影響を受けやすく、宿主となる人間の人種や体質によっても違いがあるので、研究はなかなか難しいんですね。

腸内細菌と病気の関係について、明確な答えが明らかでないのは残念ですが、「わかっていない」ということがわかって納得しました。

これからもっと研究が進んでいくことを期待します。


実践方法はアメリカ流


著者の研究者夫婦には2人の子どもがいて、家族ぐるみで腸内細菌によい生活を心がけているそうです。

本の中では、具体的な取り組みも紹介されていて、巻末には腸内細菌に優しい食事のレシピまでついています。

ただ、食事に関してはアメリカ流で、日本人にはあまり参考にならないかもしれません。

レシピにも日本人には馴染みのない食材が多く登場していて、まねするのは難しいと思います。

それでも基本的な考え方はわかるので、日本流にアレンジして、普段の生活に取り入れていきたいです。


◆さいごに◆


『腸科学』には、腸内細菌とは何かなどの基本的なことから、健康を保つにはどうすればいいのかといった実践的な方法まで、幅広い情報が載っていました。

いままで腸関係の本はたくさん読んできましたが、ここまで詳しく、具体的な内容が書かれたものはありませんでした。

文章もわかりやすく、読み物としても面白い本だと思います。

腸内細菌に興味のある人にはぜひ読んでもらいたいです。