【洋書レビュー】子どもたちの雪遊びは手加減なし。Diary of a Wimpy Kid: The Meltdown (Book 13) [ Jeff Kinney (著) ]

【洋書レビュー】Diary of a Wimpy Kid: The Meltdown (Book 13) [  Jeff Kinney (著)  ]

今回紹介するのは、ジェフ・キニー(Jeff Kinney)のDiary of a Wimpy Kid: The Meltdown

「ダメ日記」シリーズの13巻目です。

子ども向けの本ですが、相変わらず笑えます。


基本情報

タイトル:Diary of a Wimpy Kid: The Meltdown (Book 13)
著者:ジェフ・キニー(Jeff Kinney)
出版年:2018年
読んだ形式:ハードカバー
ページ数:217
邦訳:『グレッグのダメ日記 さすがに、へとへとだよ(グレッグのダメ日記 13)』 (ポプラ社) 

あらすじ・概要

シリーズ13巻目で取り上げられるのは、子どもたちの冬の生活。

雪が降りしきる中での熾烈な縄張り争いや寒い時期ならではの学校の様子が描かれます。


日記なので目次はなく、あらすじを書くのが難しいですが、基本的には、

トラブル発生
→乗り切ろうと奮闘
→失敗or成功or大混乱


のパターンで話が進みます。


クライマックスの場面では、見開き2ページを使った壮大なイラストあり。

どんなシーンなのかは、ぜひ読んで確かめてみてください。


感想・レビュー

子どもたちのご近所事情が明らかに

今回は雪が降って遊び場と化した通りでの、子どもたちの戦いがメイン。

というわけで、グレッグの住むSurrey Streetの構造や家の配置が紹介されています。

シリーズ13巻目にして、ここまで詳しく解説されたのはおそらく初めて。

どこにどんな子どもが住んでいるのかが判明し、グレッグのご近所の様子がぐっとイメージしやすくなりました。(家の前が斜面になってる描写は今までもあった気がする)


通りの平坦な部分(Lower Surrey Street)と坂の部分(Upper Surrey Street)で対立が起こっている構図は、長い通りに一軒家が立ち並ぶアメリカならでは。

僕の住む地域では「通り」という概念自体がそこまで一般的ではないので、場所ごとに子どもたちが仲間意識を持つ感覚は楽しそうでうらやましいです。

想像による国説明

雪遊び(というかもはやsnow wars)以外で面白かったのが、序盤のInternational Showcase(生徒がそれぞれ担当の国を決めて調べてくる授業)。

グレッグが想像だけで書き上げたマルタの解説は神がかっていて笑えました。

勉強はできなくても頭が回るところは、サザエさんに出てくるカツオと一緒ですね。

ちなみに、マルタが国なのは僕も知りませんでした(笑)(イタリアの一部だと思ってた)

最後、イベントがめちゃくちゃになってグレッグが世界平和を憂うくだりが、個人的にはこの巻で一番のお気に入りです。


気になった英語

本書を読んでいて、僕が思わず立ち止まったり調べたりした英語表現を挙げておきます。

hibernate「冬眠する」(p.41)

寒い季節を冬眠してやり過ごしたいと考えるのは、ものぐさ少年ならよくあること。

ただ、失踪したペットの豚は冬眠しているのかも、という文脈で用いられるのは稀。

snitch「告げ口する」(p.97)

アメリカ英語の口語表現で、いわゆる「チクる」という意味。

今回は似たような系統で以下のような単語も登場しました。

narc「たれ込み屋、情報提供者」(p.98)
→こちらも俗語。「麻薬取締係」の意味も。

tattletale「おしゃべり屋」(p.97)
→アメリカ英語で、主に先生などに告げ口する子どもを指す単語。
 イギリス英語だとtelltale。

traitor「裏切り者、逆賊」(p.37, 216)
→引っ越しただけで裏切り者扱いされる子どもの世界は残酷。しかし、それでも新しい環境に順応できるのが子どもの強さ。

mayhem「無秩序、大混乱」(p.181)

まさにこの巻を象徴する単語。

法律用語としては「身体傷害(罪)」の意味あり。(体が不自由な「障害」ではなく、傷つける「傷害」の方です)


さいごに

このDiary Of A Wimpy Kidシリーズ、なんと最近ディズニープラスでCGアニメ化されました。

まさかあののっぺりした絵が、3Dで動くとは……。

ちょっと驚きですが、まだまだ勢い止まらず、巻が続いてくれるとうれしいです。


関連記事:
Kindleがあれば無料でたくさん洋書が読める!AmazonClassicsは英文多読にぴったり。

関連記事:【書評の書評】これぞプロの洋書レビュー!宮脇孝雄『洋書ラビリンスへようこそ』を読んだ感想。