【レビュー】草薙龍瞬『反応しない練習』を読んだ感想

【レビュー】草薙龍瞬『反応しない練習』を読んだ感想


草薙龍瞬さんの『反応しない練習』を読みました。

こういう風に本の感想を書くのも「反応」っぽいな……。




感想・レビュー

少し前に読んだ岡本太郎の『自分の中に毒を持て』と方向性が真逆すぎて笑った。この本が無意味な闘いからは降りることを説いているのに対し、全力で勝負を挑んで「爆発」させることを勧める岡本太郎。クールな道と激しい道。どちらに進むべきか悩ましい……。

ただ、ブッダの教えも岡本太郎の思想も、真摯にありのままの自分を見つめる、というスタート地点は同じ。どちらの考え方を選ぶにしても、抱えている問題を中途半端にごまかしたり、自分を偽ったりすることが、一番避けるべきことなのだと思う。

個人的には「○○しない」というのが難しい。つい不要な妄想や判断をしてしまっても、あるがままの心の動きを見つめて受け流せばいいというのはわかるのだけれど、「無駄な反応はすべきではない」という前提がある以上、どうしてもそこに罪悪感が伴ってしまう。ブッダの考え方は合理的で納得できるが、「○○しない」を意識するほど心理的な負担が増してくる気がするのは僕だけだろうか。

たぶん合う人にとっては救われる内容で、自然に実践にできるタイプの人は心が楽になると思う。知っている相手でも「新しい人」と考えるなど、うなずける箇所はたくさんあったので、岡本太郎の言葉と併せて、これからの人生を生き抜く武器として活用したい。


さいごに

仏教系に限らず宗教の教えを説いた本は、個々の考え方は腑に落ちても、全体としてはどことなく矛盾を感じることがよくあります。

それはおそらく、ブッダなどの教祖がその場その場で目の前の一人を救うために発した言葉を弟子たちがまとめたものを土台にしているから。

ある意味では、個人に最適化されたオーダーメイドの教えの集合体とも言えるんですよね……。

根本的な考え方は共通でも人によって参考にすべき教えは微妙に異なると思うので、本書の内容も自分の感覚を大切にしてしっくりくる部分を生活に生かしていきたいです。


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