【50音エッセイ】第9回 「ケーキ」について

50音順にテーマを決めて、エッセイを書いていくコーナー。

第9回は「け」の「ケーキ」について。


「ケーキ」について

我が家では家族の誕生日とクリスマスにみんなでケーキを食べる習慣がある。時期に偏りはあるが、おおよそ2ヶ月に1回。誕生日は誰かを祝う日というより、ケーキを食べられるのを喜ぶ日と化していた。

「化していた」と過去形で書いたのは、僕がケーキを食べなくなったから。クローン病と診断されてからもしばらくは「誕生日くらいなら……」と食べ続けていのだが、実食を繰り返すうち、生クリームを摂取するとほぼ確実にお腹を壊すことが明らかになった。

本当は見て見ぬふりをしたい不都合な真実。しかし、炎症が悪化して病院行きになっては洒落にならない。ケーキは食事リストから外すことにした。(ちなみに、家族は今まで通り遠慮なくケーキを食べている。)

というわけで、もはや思い出の中にしか存在しないケーキの味だが、前々回書いたカレーと同様、食べられなくても好きなのは変わらない。

もし「ケーキ買ってくるけど何がいい?」ときかれたら、ショートケーキかモンブランかチーズケーキを選ぶ。信頼できるお店ならショートケーキが第一希望。どの店でも大きくは外れないのがモンブラン。たまに食べたくなるのがチーズケーキ。どのケーキも土台がタルト生地やクッキー生地になっているとうれしい。チーズケーキはしっとりしたスフレタイプがお気に入り。

ケーキといえば、ホットケーキも好き。小学生頃まではメープルシロップが定番だったが、あるとき一緒にマーガリンをつけて食べて、あまりのおいしさに衝撃を受けた。以来、小皿にメープルシロップを注ぎ、ふちにマーガリンをセットするのが当たり前になった。

ホットケーキミックスを使った人参ケーキやバナナケーキも懐かしい。ホットケーキミックスの生地にすりおろした人参(または潰したバナナ)を混ぜ、アルミカップに入れて焼いたやつ。こういう「ケーキ」なら今でもそこまで神経質にならず楽しめるかもしれない。

いずれのケーキを食べているときも、記憶の中の僕は、いつもニコニコ。