【50音エッセイ】第8回 「靴」について

50音順にテーマを決めて、エッセイを書いていくコーナー。

第8回は「く」の「靴」について。


「靴」について

日ごろとてもお世話になっているのに、扱いが雑なのが靴である。いつのころからか「靴を洗う」という習慣さえもなくなった。学生時代は確かにバケツに専用の洗剤を入れてつけ置き洗いしていた記憶があるが、一体どのタイミングで投げ出してしまったのだろう。昔我が家にたくさんあったはずの靴を干すためのハンガー(針金ハンガーをまげて碇みたいな形にしたやつ)もどこに行ったのかわからない。

普通の衣服と違って、靴は洗うのも干すのも面倒臭い。画期的な靴の洗い方が登場したというようなニュースは見たことがなく、動画を見ていて靴専用洗剤の広告が流れたこともない。これは世間的にも靴は洗わなくてかまわないとコンセンサスが取れたとみなしてよいのかもしれない。

一方、靴を洗うことについての情報の少なさに対し、ニオイ対策についてはグッズや対処法をやたらと目にする。僕の場合、食事が簡素すぎるせいか、運動量が少ないせいか、靴がそこまで臭わない。さすがに夏場に歩き回ってから靴下状態になると臭うが、学生でなくなってからは家以外で靴を脱ぐ機会は皆無。人に臭いを嗅がれる心配はない。結局、特に何も対策せず放置している。

親やきょうだいはたまに脱臭剤(乾燥剤も兼ねてるっぽい)を入れているようだが、効果があるのかはだいぶ疑問(冬は使用済みカイロを入れていた)。なんだかんだいって定期的に洗うのが一番のニオイ対策なのではないかと思う。

靴は手入れだけでなく買うのも面倒。ネット通販でも購入自体は可能だが、メーカーやサイズが同じでも個体差があるため、いったんは実際に履いてから確認をしたい。しかし、適当に買うと足を傷めることにもなりかねず、「きちんと選ばねば!」という変な気負いが発生し、靴屋に行くのが億劫になる。その結果、買い替えはずるずると先延ばしされ、本格的に歩行に支障をきたすまで、ぼろぼろの靴を履き続けることになる。
 
と、ここまで書いてきて、僕にも人前で絶対に靴を脱がなければならない機会があることを思い出した。それは、病院で内視鏡検査を受けるとき。というわけで、靴の臭いやボロさに気を遣うべき相手がいるとすれば、お世話になっている病院の看護師さんたちだけ。


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