短歌と読み
舞う蝶を追う人もまた蝶となり森に差す日を後翅に透かす
まうちょうをおうひともまたちょうとなり
もりにさすひをこうしにすかす
コメント
円城塔さんの『道化師の蝶』を読んだ。難解過ぎて何度読んでも作者の意図を正確に汲み取れる気がしないが、だからといって「意味わからん!」と突き放すには惜しい美しさ。入れ子構造や叙述トリックなど、経験則に照らして理解を試みるたび置いていかれる感覚は、月並みな比喩だがやはり蝶を追っているようだった。
自己と他者、過去と未来を区別なく同時並行で語れる言語で紡がれた物語を日本語に翻訳したみたいな、秩序ある不可思議さに満ちている。評価が真っ二つに分かれそうな作品だけど、個人的にはあり。
そういえば、最近『水曜日のダウンタウン』で「ちょうちょ、大人が本気出せばどこまででも追いかけられる説」をやっていた。蝶を追う企画にしては珍しく、虫取り網は登場せず。人間が網を持たずにひたすら蝶を観察し続けるというのは、もしかすると『道化師の蝶』へのアンチテーゼかもしれない。
