「8さつめ」になっても、浜村渚の数学的マイペースは変わらない。


『浜村渚の計算ノート 8さつめ 虚数じかけの夏みかん』を読みました。

「8さつめ」と言いつつシリーズ9冊目というのがややこしいですが、長く続いてくれてうれしいです。

マイペースな渚の数学的な謎解きに、今回も癒されました。


感想・レビュー

数学の世界は永遠に


「8さつめ」には3つの話が入っていました。

数学的なテーマは、
1話目がアラビア数学
2話目が友愛数
3話目が複素数平面
でした。

浜村渚シリーズは結構長く続いていますが、まだまだ数学ネタが尽きることはなさそうです。数学の世界は広いですね。

巻を重ねるごとに数学の解説もわかりやすくなっていて、著者の青柳さんの文章力には感心します。

難しい数学も、渚の口から説明されると、すんなり頭に入ってくるから不思議です。

青柳さんは他にもいろいろなシリーズを描いているので、浜村渚シリーズはすぐに終わってしまうのではないかと心配していましたが、そんなことありませんでしたね。

むしろ、他にも小説をたくさん書くことで経験値が増えて、面白さが増しているように感じます。

これからも渚の数学解説がより楽しくなっていくことに期待です。


問題があると楽しい


「7さつめ」の終わりには、キューティー・オイラーから次の事件の場所を示す問題が出されていました。

僕は大学が理系の学部だったので、持っている知識で頑張って解きましたが、物語に参加している気がして面白いですね。

「8さつめ」の冒頭で答えと解説が載っていて、自分の出した答えが正解だとわかりうれしかったです。

数学に詳しくない読者も、ネットで調べたり人に尋ねたりして、一生懸命考えたのではないでしょうか。

クイズがあると、本を読み終わった後も楽しいですし、次の巻が出るのがより待ち遠しくなりますね。

今回の「8さつめ」では、物語の途中に読者への謎解きが用意されていました。

数学とはあまり関係ありませんでしたが、毎回こういう仕掛けがあるとうれしいです。またやってほしいな。


いよいよクライマックス?


今回は、ついに武藤さんが、アドミラル・ガウスこと森本洋一郎と対面しました。

アドミラル・ガウスはいつも映像で出てくるだけなので、今回もそうだと思っていたら、まさかのご本人登場で驚きでした。

あの重要人物も登場して、物語も段々とクライマックスに入ってきました。もうすぐ終わってしまうのではないかとドキドキします。

どういう結末を迎えるのか気になるけど、物語はずっと続いてほしいという何とも言えない気持ちです。


さいごに


「8さつめ」では、鳥取砂丘や横浜の名所など、実在する地名がたくさん登場していました。

どれも行ったことがない場所なので、一度訪れてみたいです。

「浜村渚の聖地巡り」をしてみるのも楽しそうですね。