『はざまのコドモ 息子は知的ボーダーで発達障害児』を読みました。
知的ボーダーとは、知能が健常者と障害者の中間にある人のことを言います。
沖田×華さんのアシスタント、君さんの実話をもとにした話で、子どもが障害者と認めらないが故の苦労が描かれていました。
感想・レビュー
障害者でないから楽というわけではない
君さんの息子、ヨシくんは行動が明らかに健常者と異なるのに、テストでのIQが高いせいで知的障害とは認められませんでした。
健常者としても受け入れられず、障害者としての支援も受けられない様子は、読んでいて心が痛みます。
僕自身もクローン病で、難病の申請を出すときには、毎回審査に通るか心配になります。
「障害者」や「難病患者」になりたいわけではないのに、そう認められないと支援や補助が受けられないのはつらいです。
もっと柔軟に対応してくれる制度ができないものでしょうか。
健常者かそうでないかは、もっと幅を持たせて判断してほしいです。
子どもは意外と障害に寛容
ヨシくんの問題行動に対して、同級生たちがすんなり受け入れて仲良くしていたのは印象的でした。
異常や障害があっても、普通に接することができるのは、子どものすごいところです。
差別やいじめがいけないと言いつつ、実際にそれをやっているのは、大人ばかりな気がします。
先回りして、周囲の大人があれこれ言わず、子ども同士に任せて見守ることも大切なのではないでしょうか。
誰かに頼る癖をつけよう
漫画では、知的ボーダーのヨシくん本人よりも、親である君さんの方が苦労していました。
君さんのように、子どものことで頑張り過ぎて体調を崩したり、家族関係がうまくいかなくなってしまったりするのは珍しくなさそうです。
親の介護でも同じですが、「自分がどうにかしなければ」というのは危険な考え方です。
大変な状況になる前に、日ごろから誰かに相談したり頼ったりする習慣をつけておくのが大事だと思います。
SNSなど、自分のSOSを発信する場を決めておくのもいいかもしれませんね。
さいごに
『はざまのコドモ』では、君さんの苦労を通じて、知的障害者への支援制度の頼りなさが伝わってきました。
今では多少改善されているのかもしれませんが、障害や病気に関する制度はまだまだ改善の余地があります。
障害者や患者本人だけでなく、その世話をする保護者や家族に対する支援も含めて、制度のあり方を見直してほしいです。