【レビュー】西野亮廣さんの絵本『えんとつ町のプペル』を読んだ感想

【レビュー】西野亮廣さんの絵本『えんとつ町のプペル』を読んだ感想


西野亮廣さんの絵本『えんとつ町のプペル』を読みました。(正確に書くと作者名は「にしの あきひろ」)

とくに西野さんのアンチでも信者でもないですが、率直な感想を書きます。




感想・レビュー

絵について

絵はめちゃくちゃきれい。ただ、あまりにも精巧すぎてCG感が強い。見開きの左ページに文章、右ページに絵という構成もあって、絵本というよりピクサー映画を本にしたやつ、みたいな印象を受けた。意味は同じでも「絵本」ではなく「ピクチャーブック」と呼びたくなる。

これは良し悪しではなく好き嫌いの問題なのだけど、僕は最近のアニメでよく使われる3DCGが苦手。立体の表面に平面の目や鼻、口を貼り付けたように見えて違和感がある。中途半端に立体化するくらいなら、いっそのこと和田誠さんのイラストレーションくらいぺったりした絵の方が好みだ。

「プペル」に関しては手描きやCGが混ざっているような画風で、技術的にとんでもなく高度なことが行われているのだと思う。一枚一枚を絵として観察するのは面白い。

ストーリーについて

物語としては、ど直球ないい話。きっと心のきれいな子どもであれば感動したり泣いたりできるのだろうなと思った。僕は心がえんとつ町の空くらい汚れているので、残念ながらそこまで刺さらなかった。

個人的にはどうしても最初に心臓を落とした配達員のことが気になってしまう。ルビッチがプペルの秘密に気づいたあたりで、「やっと見つけた。さあ、心臓を返してもらうよ!」と心臓を回収しに現れるのではないかと思ったのだけど、結局そんな残酷な展開にはならず。配達員は最後まで登場せずに終わってしまった。映画では多少物語がプラスされているはずだけど、やっぱり素直にいい話なんだろうなと思う。(映画は未視聴)

きちんと伏線と回収はあるものの、絵本的な不条理さはなく、話の展開はまっすぐ。純粋さがまぶし過ぎて、変に裏切りを期待してしまうひねくれ者の読者には向いていない作品かもしれない。


なんとなく批判的な感想になってしまったが、大前提として「絵本」なので、大人目線でどうこう言うのはちょっと違う気がする。

絵本を読んでいない人も、映画の主題歌を聞いて、作品の雰囲気だけでも感じてみてほしい。


■ロザリーナ 『えんとつ町のプペル』Music Video(YouTubeより)



さいごに

今さらながらこの絵本を読んだのは、図書館で偶然見つけたから。子ども向けの絵本コーナーではなく、一般的な絵の技法書や画集と並べて置いてありました。

心を揺さぶられるかは人それぞれだと思いますが、芸術点が高いのは確か。絵本の監修だけでなく、主題歌の作詞作曲まで西野さんが行っているのは、いろんな意味ですごいです。


関連記事:
【傑作】もう読んだ?僕の人格を形作った完結済みのおすすめ漫画まとめ。