よかった本トップ3(2025年9月)
第1位:銀河鉄道の父
宮沢賢治の父、政次郎が主役の小説。
一見厳しそうでありながら、最後はいつも息子の意見を通してしまう、政次郎の親ばかさが微笑ましかったです。
勝手に硬い感じの作品だと思っていたのですが、NHKの朝ドラみたいな雰囲気でした。
政次郎は消化器が弱くなっても全く気に病んでいる様子がなく、僕もクローン病なんかで落ち込んでもしょうがないなと思いました。
第2位:言語の本質
オノマトペを足掛かりに言語の本質に迫った一冊。
以前から漠然と抱いていた「AIは身体感覚がないからいくら頑張っても言葉を完全には理解できないのでは?」という疑問が真正面から論じられていて、興味深く読みました。
「記号接地問題」は、考えれば考えるほど難しい……。
いつかAIがカメラやセンサーを言語と有機的に結び付けられるようになったら、人類は降参するしかないのかもしれません。
第3位:イン・ザ・メガチャーチ
アイドルなどの「推し」とそのファンたちで形成される「ファンダム経済」をテーマにした作品。
「推し活」といえば宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』ですが、『イン・ザ・メガチャーチ』では『推し、燃ゆ』を読んだときに感じた「こういう視点でも描いてみてほしいな」という個人的な要望がまとめて掬い取られた上で予想外の方向へぶん投げられていて、「朝井リョウ恐るべし!」と思いました。
なんかもう、めちゃくちゃ高度なリレー小説みたいですね。
『推し、燃ゆ』が書かれた当時と「推し活」の本質自体は意外と変わっておらず、だからこそ、それを取り巻く社会環境や価値観の変化を鮮明に感じました。
今村夏子さんの『星の子』や魚豊さんの『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』を彷彿とさせる部分もあり、信じることの愚かさと尊さの相克に胸が痛くなります。
さいごに
今月は通常の読書と並行して『GANTZ(ガンツ)』を全巻読んだのですが(途中までジャンププラス、最後の3巻はKindleで購入)、あまりにもエグい描写が多く、精神が消耗しました。それでも最後まで読みたくなる面白さって、罪ですね……。
今後しばらくは人が簡単に死ぬような作品には手を出しません。
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