僕は食道の一部に狭くなっているところ(狭窄)があり、食道拡張術という治療を受けています。
これまで3回食道拡張術をやったのですが、そのときは入院中に行いました。
今回初めて外来で治療を受けてきたので、その様子をまとめておきます。
食道拡張術とは?
食道拡張術とは、その名の通り食道を広げる治療です。
硬い円錐状の、ブジーと呼ばれるものを使う方法もあるようですが、僕が受けている治療はバルーンを使ったものです。
食道の狭くなっているところ(狭窄)にバルーンを挿入し、それを膨らませることで、食道を押し広げます。
バルーンは細長いもので(バルーンアートに使う風船みたいなイメージ)で、太さにはいくつか種類があります。
僕の場合は、食道の最も狭いところが直径3 mmしかなかったので、最初は一番細いバルーンからのスタートでした。
入院か外来で行うかは、患者の体力や食道の状態によります。
僕は治療当初はものが食べられず、衰弱しきっていたので、最初の3回は入院中に行いました。
4回目となる今回は、体力が回復してきたから大丈夫だろう、ということで外来での治療になりました。
準備や注意点は胃カメラと一緒
「食道拡張術」というかっこいい名前がついていますが、基本的には胃カメラと同じです。
治療の説明のときにもらう紙も胃カメラのもので、病院の予約カードにも「胃カメラ」と書かれていました。
検査前の注意点も胃カメラの場合と一緒です。
前日の夜9時までに夕食を済ませ、その後は絶食。水分は、水なら自由に飲んでいいそうですが、当日はコップ一杯程度にしておくように注意されました。
持病があって薬を飲まなければいけない場合は、先生や看護士さんに相談しましょう。
僕はクローン病で、プレドニンという薬を毎朝飲んでいますが、治療の当日は夕食後に飲むように言われました。
治療当日の流れ
治療の日は公共の交通機関やタクシーで病院に行きます。治療で麻酔を使うため、自分で車を運転して行くと、帰りが危ないので治療が受けられない可能性があります。
受付を済ませた後は、まず最初に検査に使う点滴を打たれます。そして、点滴台を引きずりながら内視鏡室へ。
病院にもよると思いますが、僕の場合は検査着には着替えず、私服のままでした。
順番を待っている間には、朝食を抜いてきたかを確認されたり、治療後の安静時間などの注意点を説明されたりします。
いよいよ治療室へ
順番が来て名前を呼ばれると、まず検査台の上に座って血圧を測られます。
僕はクローン病の検査で何回も来ているので、看護士さんに
「今回は上の方だけど頑張ってね」
と言われました。
内視鏡室の看護士さんと顔見知りという人は、なかなか珍しいのではないかと思います。
その後、のどにスプレーで麻酔をされ、横になります。横になってから、口にカメラとバルーンを通すためのマウスピースをはめられ、鼻には酸素チューブが装着されます。
酸素チューブが必要なのは、麻酔(先生が言うには「眠くなるお薬」)を使うためです。
そして、点滴の管の途中から、痛み止めと「眠くなるお薬」が注射されるのですが……
これがとっても痛いです。
先生からは、「チクチクしますけど、点滴の液が漏れているわけではないので心配しないでくださいね」と言われましたが、チクチクどころではありませんでした。
ただ、痛いのは少しの間だけで、すぐに麻酔が効いて頭がぼうっとしてきます。
そして、いよいよ食道の拡張が始まります。
治療はめちゃくちゃ苦しい
正直なところ、治療はめちゃくちゃ苦しいです。僕はもう4回目ですが、全く慣れません。
食道の拡張の流れとしては、
① バルーンを狭窄部分に挿入して膨らませる
② 1分間キープ
③ バルーンを縮める
の繰り返しです。
バルーンを膨らませる太さや位置を変えながら、何度もこれを繰り返します。
一番苦しいのが、膨らませた状態で1分間キープするときです。本当に麻酔が効いているのか怪しいほど苦しくて涙が出ます。
どうやって呼吸していいのかもわからず、ただただ我慢するしかありません。
食べ物がのどに詰まっただけでも苦しいのに、食道を無理やり押し広げているのだから、つらいのは当たり前なんですけどね。
苦痛に耐えて悶えていると40分くらいして治療が終わりました。
僕は狭窄が3か所もあるので、他の人はもっと短いのかもしれません。
治療後はベッドで安静
治療の後は麻酔でフラフラしているので、車いすでベッドまで運んでもらい、そこで1時間半安静にするよう言われました。
長いなあと思いましたが、治療の疲れと麻酔の効果で寝てしまい、あっという間に時間が過ぎました。
安静時間が終わると、看護士さんがやって来て、フラフラしないかを確認され、点滴の針を抜いてもらって治療終了です。
食道は広がったみたいだけど……
安静時間が終わってから、治療の結果について先生から説明を受けました。
食道の拡張は成功し、なんとか一番細い胃カメラが通るくらいまでにはなったそうです。
ちょっと心もとない気もしますが、ものを食べるには問題ないとのことでした。
ただ、説明のときに見せられた画像では、食道が血で真っ赤に染まっていて痛々しかったです。
バルーンを使った食道拡張術では、のどを無理やり広げるので、粘膜に傷が入ったり裂けたりするのはしょうがないのですが、見た目がひどくて心配になります。
もっと体に優しい方法があるとうれしいんですけどね。
治療後はしばらく痛い
治療の後は、2時間は絶飲食になります。誤嚥の危険があるので、水やつばも飲み込むと危ないです。
僕の場合はのどが痛すぎて、2時間を過ぎても水が飲めず、つばも吐き出していました。
12時頃には治療が終わったのですが、夕方までは何も口にできませんでした。
夜はおかゆを少しだけ食べました。
せっかく苦労して食道を広げたのに、痛さのせいで飲み込みやすくなったのかもよくわからず残念でした。
翌日に食道の広がりを実感
拡張をした翌日に朝ご飯を食べて、ようやく食道が広がっていることを実感できました。
のどは痛いままでしたが、明らかに飲み込みやすくなっていてうれしかったです。
ただ、食道の痛みや違和感は2,3日続きました。不思議なことに、食事中よりも食後に違和感を覚えることが多かったです。
なぜかはよくわかりませんが、食べているときに痛みをひどく感じないのはありがたかったです。
拡張はまだまだ続く
とてもきつい食道拡張術ですが、残念なことに1回では終わらないみたいです。
無理やり広げた傷が治ってくると、再び食道が狭くなってしまうので、完全に戻ってしまう前にまた拡張する必要があるそうです。
定期的に拡張を行うことで、少しずつ狭窄が広がっていくんだとか。
ということで、また1か月後に食道拡張術を受けることになってしまいました。
正直もうやりたくないですが、問題なく食事ができるようになるためには仕方ないですね。
さいごに
今回は初めて外来で拡張術を受けることになり不安でしたが、無事に終わって安心しました。
これからも治療が続くと思うと憂鬱ですが、いつか治る日が来ると信じて頑張ります。