Lois Lowryの『The Giver』を読んだ。おすすめの洋書としていろんなところで紹介さており、老人の描かれた表紙が前から気になっていた。
読んでみると、最初は現実にありえそうな統制社会が舞台だと錯覚した。しかし、話が展開するにつれて驚きの秘密が明らかになっていき、表紙や各チャプター冒頭のりんごの絵を何度も見返してはそういうことかと感心した。まさにしてやられたといった感じで、アメリカでニューベリー賞に選ばれているのも納得の完成度だった。
読後感としては、設定は全く異なるが、ジャンプで連載していた『約束のネバーランド』の第1部(主人公たちがハウスを出たところまで)の印象に近い。続きは気になるが、ここで終わってもかまわない、という充実した気持ちにさせられる。
実は、今まで『The Giver』を手に取らなかったのには明確な理由がある。それは、この作品が他の3作につながる4部作構成となっているからだ。
1作目の『The Giver』が出版されたのが1993年、2作目の『Gathering Blue』が2000年なので、当初の構想としては『The Giver』だけで完結するつもりで書かれているとは思う。しかし、続きがあるのであれば読まないわけにはいかない。さすがに洋書4冊はきついなと躊躇してしまっていた。
ところが、先日何気なくAmazonで洋書を眺めていたところ、Kindle版の4冊合本版が530円になっているのを見つけた。これはもう買うしかないだろう(1冊ずつ単体だとそれぞれ600~900円するという謎の価格設定)。
そんなわけで、思わず購入した合本版を読み進め、現在『The Giver』まで読了した。
先に書いた通り、ここで終わっても申し分のない内容ではあるが、主人公がどうなるのか、行く末が楽しみである。
Lois Lowry (著) HarperCollinsChildren’sBooks 2014/7/31
さいごに
『The Giver』では、言葉が厳しく指導されるという設定のせいか、英語の俗語表現がほとんどなく、洋書にしては非常に読みやすかった。この記事が読まれている時点で合本版の値段が安いままかは不明だが、手ごろな洋書を探している英語学習者にはぴったりな1冊だと思う。興を削ぐのが怖くて、今回はあまり中身に踏み込んだ感想が書けなかった。もし未読であれば、ぜひご自身でページをめくり、世界観を味わってほしい。
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