地球温暖化に対する無力感。ビル・ゲイツ(Bill Gates)著『How to Avoid a Climate Disaster』を読んだ感想。

ビル・ゲイツ(Bill Gates)の『How to Avoid a Climate Disaster』を読んだ。温室効果ガス排出の現状や排出量をゼロにするための課題が丁寧に整理されていてためになった。

不安を煽るような余計な記述を省いて、「いかにして排出量をゼロにするか」に焦点を絞っている点が素晴らしい。地球温暖化対策を議論する上で、広く読まれるべき良著だと思う。


しかし、ビル・ゲイツの説明を読めば読むほど、無力感が沸き起こってくる。

心を折られるのは、現時点で存在する技術では、温室効果ガスゼロを実現するのが不可能だという点だ。例えば、電気自動車。僕はどんな乗り物でも電気で動かせると思っていたが、大型トラックや輸送船などの電力駆動は現実的ではないらしい。

他にも、鉄やセメント製造時の二酸化炭素排出は避けようがなく、いったん発生した二酸化炭素を後から回収するような方法でしか対処ができないとのこと。窒素肥料から発生する窒素酸化物など、二酸化炭素以外にも問題は多く、温室効果ガスの排出をなくすには、単純に、動力を全て電気に置き換えて、その電気をクリーンな方法で発電すればOK、という話ではないということがわかった。

もし仮に世界中が一致団結したとしても、すぐに温暖化を止める術を人類は持ち合わせていない。まずは研究開発を行って必要な技術を生み出すところからスタート、と考えると気が遠くなってしまう。政府・企業が環境テクノロジーに本気で投資し、技術が進歩、実用化、普及するまでに、一体何年かかるのだろう?

楽観的なビル・ゲイツでさえ、温室効果ガスゼロを達成する目標として、2050年を掲げていた。僕は悲観的なので、この本で書かれているような方向性での温室効果ガスゼロ実現は無理なんじゃないかと思っている。

地球温暖化問題が解決するとすれば、それは今の僕らには想像できない類の技術的ブレイクスルー、あるいは人類の関与を覆すような惑星規模の気候変動によるものだと思う。

20年前には、スマホの登場も新型コロナの大流行も、誰も予想していなかった(フィクションの世界で似た話は書かれていたけど)。地球温暖化に関しても、どんな進展を見せるのか、断じるのはまだまだ早い。


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