【洋書】Michael Ende著『The Neverending Story』を読んだ感想。おとぎの国でも人間は人間。

ミヒャエル・エンデ(Michael Ende)の『The Neverending Story』を読んだ。(原著はドイツ語なので英語訳)

タイトル通り「永遠に終わらないんじゃないか?」と思うくらい壮大な物語だったが、無事に読了できて一安心。

ファンタジー詰め込みまくりの世界の中でも、人間の弱さがしっかりと描かれていて、単純に「わくわくどきどき」だけでは済まない作品だった。


※以下の感想にはネタバレを含みます。

英語版 Michael Ende (著), Ralph Manheim (翻訳)


感想・レビュー

哀れな異世界転生もの

この作品にはメタ的な要素が含まれているらしいと事前に情報を得ていたが、実際には読者を巻き込むような演出はなく、いわゆる「メタ小説」というまでの感じではなかった。

途中で冒頭の文章が繰り返され始めたときは「おお、これは!」と思ったけれど、その後は割と真っ当な小説。

むしろ、主人公が読んでいる本の世界に入り込むという点では、今流行りの「異世界転生もの」に近いかもしれない。

物語世界で、願ったことを何でも実現できるチート能力を手に入れる展開もまさにである。


ただ、主人公のBastianがなかなか満たされないのが、ライトノベルとは決定的に読み味が異なるところ。

どんなに強大な力を手に入れても、他人に尊敬されても、充足感が得られない。

最初はBastianの生い立ちに同情するような気持ちだったが、次第に人間としての醜い部分があらわになり、素直に応援させてはくれなかった。

ファンタジーの世界だからこそ、自己顕示欲や猜疑心がより顕著に感じられ、「可哀そう」から一周回って、器の小さな主人公が「哀れ」になった。

もちろん最後には円満に物語が終結するのだけれど、おとぎの国の冒険でこんなに現実を見せつけられるとは思わなかった。


よくよく考えると、救うはずのFantasticaが滅茶苦茶になっていたり、本の世界から戻れないままの人が大勢いたりと、なんだか釈然としない部分も多い。

それでも、本を閉じれば物語は終わる。

結局、いつまでも続いていく「ストーリー」は自分の人生だけなんだな、と勝手な教訓を得た作品だった。


さいごに

ミヒャエル・エンデといえば、小学生のとき読んだ『モモ』が強く印象に残っている。

Kindle版だと英語訳は『The Neverending Story』しか取り扱いがなかったのだが、英語圏では『Momo』より『The Neverending Story』のほうが知名度が高いのだろうか?

『モモ』は細かい部分を忘れてしまったので、機会があれば英語でも日本語でもいいから改めて読み返したい。

ベッポじいさん、待っててね!


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