【レビュー】道尾秀介『カエルの小指』を読んだ感想

【レビュー】道尾秀介『カエルの小指』を読んだ感想


道尾秀介さんの『カエルの小指』を読みました。

騙されるのは楽しいなあ。




感想・レビュー

前作の『カラスの親指』を読んでからずいぶん期間が空いたため、おぼろげにしか内容を覚えていなかったが、問題なく楽しめた。文章自体が読みやすい上、細かい引きがたくさんあって、どんどんページが進む。登場人物が互いにつく嘘、著者が読者を騙す仕掛け。1冊の中で大小さまざまな「詐欺」が横行していて面白かった。

前作との大きな違いは、やひろと貫太郎の子どもである「テツ」が仲間に加わったこと。技術系に強い便利キャラで、前回はこの子なしでよく作戦を実行できたなと感心するほどの活躍。やはり今の時代はデジタルネイティブなキャラが一人くらいいないと話が成り立たないのだろう。また10年くらいしたらスマホすら古くなって、出てくる騙しの手口やテクニックも変わってくるのかもしれない。

ただ、どんなに技術が発達しても、詐欺の肝が「いかにして相手の信頼を勝ち取るか」であることには変わりなし。人を信じる気持ちを利用する詐欺という行為は非情だなと改めて思った。


さいごに

『カエルの小指』の文庫版の解説はヨビノリたくみさんが書いていました。

道尾作品のファンだとYouTubeで言っているのを聴きましたが、想いを表明し続けるとこういう仕事も回って来るんですね。

最近はYouTuberが文庫解説や帯の推薦文を書くことも珍しくなくなってきて、ネットの世界から出版業界に押し寄せる波を感じます。


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