佐藤究さんの『爆発物処理班の遭遇したスピン』を読みました。
殺伐……。
感想・レビュー
どの短編も力強く、重工業的な重さがあった。全編に渡りバイオレンスな空気が充満していて、読んでいるだけで息が詰まりそうになる。短編だけど、著者がかなりの気合いを入れて書いているのが伝わってきた。
表題作の『爆発物処理班の遭遇したスピン』は秀逸。量子力学はSF小説や漫画でよく扱われる分野だが、量子もつれを爆弾に応用する発想は面白い。わざわざ面倒な手間をかけてまでスピンを利用する理由がちゃんとあるのがよかった。実際のところ、量子コンピュータはまだまだ実用には程遠いし、もつれた量子を安定して輸送したり保管したりするのも難しいけれど、シチュエーションの作り込みが堅牢で、現実に起こってもおかしくないような凄みがあった。
2作目の『ジェリーウォーカー』はパニック映画の序章みたいな話。人工的に生み出された生物が逃げ出して手に負えなくなる映画はたくさんあるが、研究に深入りする動機としてこういうパターンもありそう。怖いから、映像化されても絶対見たくはないけど。
その他の作品も随所に暴力的なシーンがあり、普段自分からは進んで読もうとしないタイプの本だった。『猿人マグラ』や『くぎ』は落ちがバイオレンス過ぎて、ちょっと引く。
いやー、暴力……。
短編でも読むのに精神的なタフさが求められる作品ばかりだったので、長編に手を伸ばすのは少し躊躇ってしまいます。
さいごに
佐藤究さんは出身が同じ地元の福岡で前々から気になっていたのですが、今回初めて作品を読みました。いやー、暴力……。
短編でも読むのに精神的なタフさが求められる作品ばかりだったので、長編に手を伸ばすのは少し躊躇ってしまいます。