二宮敦人さんの『最後の医者は桜を見上げて君を想う』を読みました。
一応難病(クローン病)患者の身としては、心に刺さる描写がたくさんあって、何度も泣いてしまいました。
まだ20代なのに、涙腺が弱い……
あらすじ・概要
この小説の主人公は、同じ病院で働く2人の医者。どんな病でも決してあきらめず、治療を続ける副院長の福原と、死を受け入れ、最後は患者が自分らしく生きることを優先し、「死神」の異名を持つ桐子です。
つらくても病と闘うのか、あきらめて前向きな死を選ぶのか。
死に直面した患者たちが、彼らとともに自らの生き方を見つめ直し、最後の決断を下します。
自分や大切な人の命について改めて考えさせられる感動作です。
感想・レビュー
奇跡を信じて治療を頑張る?あきらめて楽に死ぬ?
対照的な考えを持つ、福原と桐子。みなさんは、どちらに共感しますか?
僕はどちらかというと、桐子派です。
もちろん、苦しくてもより長く生きたいと思う気持ちもわかります。
でも、以前寝たきりの状態で長期入院して実感しましたが、一定の限度を超えると、ただ意識があるだけでもつらいんですよね。
食事も摂れず、トイレもおむつになると、なんのために生きているのかわからなくなってしまいます。
幸い今はこうしてブログを書けるほど回復しましたが、当時はそんなこと想像もできないわけで……
もし小説に出てくる患者のように、延命しても助からないと言われたら、すぐに桐子の意見に従ったでしょうね。
福原みたいな熱い医者に、精神的に追いつめられている人は多そうです。
全然「死神」じゃない!
最初の人物紹介では、冷血な現実主義者だと思った桐子。なのに、割と序盤から涙を流していて、正直ずるい!
つられて僕も泣いてしまいましたよ~
「死神」のあだ名に似合わず、ものすごい人間臭くて、途中は福原がまるで悪者みたいでしたからね。
よくよく読んでみると、福原は話の途中でさらっと何人も救っているのに対して、桐子は相談に乗ってばかり。
それでもやっぱり桐子に惹かれてしまう自分……
ギャップ効果おそるべしです。
つらい治療を思い出す……
第1話の白血病の治療で使われていた、中心静脈カテーテル。実は僕、経験したことがあるんですよ。
まあ、投与されたのは抗がん剤ではなく栄養剤でしたけどね。
約15cmのカテーテルを鎖骨の上あたりから挿入して点滴をしました。
血管を突き破るんじゃないかと思って恐ろしかったです。
首を動かすたびに、がちがちに貼られた固定のテープが突っ張る感覚。
点滴を制御する装置の点滅がまぶしくて眠れなかった夜。
カテーテルを止めていた糸が切れて、麻酔なしで縫い直された時の激痛。
いろんなことを思い出して涙が出ました。
いやー、本当につらかったなあ。
他にも、健康な人に励まされても上から目線に感じるとか、勉強して大学に入ったのが無駄だった気がするとか、うなずいてしまうポイントがたくさん。
作者がきれいに描写してくれたおかげで、難病の苦労がちょっと浄化された気がします。
こんな人に読んでほしい
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』は、病院のお医者さん全員に読んでほしい一冊です。僕の担当の先生にもぜひ差し上げたいですね。
実際に医療現場で働く人はどんな感想を抱くのか気になります。
Kindle Unlimitedは無料体験もやっているので、まだの人はぜひどうぞ。
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さいごに
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』は、重い内容なのに、読みやすさが抜群で、一気に読み終えてしまいました。悲しくてもすっきりする読後感もたまりませんね。
このシリーズは続きもあるようなので、今から楽しみです。
もう絶対買うなあ……
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