深水黎一郎さんの『最後のトリック
読むと自分が犯人になってしまう、なんとも不思議な小説です。
落ちが肝心なので、ネタバレしないよう気を付けて感想を書きます。
あらすじ・概要
小説家の主人公のもとに、香坂誠一と名乗る人物から謎の手紙が送られてきます。その内容は、「読者が犯人」という、ミステリー界では不可能とされてきたトリックのアイデアを、2億円で買い取ってほしいというもの。
実際、この小説を読み終えると、本当に自分が犯人になってしまいます。
突飛なアイデアと、それを実現させる構成の巧妙さに思わずうなる一作です。
感想・レビュー
ラスト3分の1からの盛り上がりがすごい!
この小説、序盤はかなり読みにくいです。テレパシーの実験など、物語に関係なさそうな描写ばかりで、正直退屈でした。
最後の落ちがすごいと知っていなかったら、途中で本を閉じたかもしれません。
ところが、246ページ(ラスト3分の1あたり)から急展開!
一気に面白くなりました。
これから読む人は、ぜひそこまでは粘ってください。
驚きの仕掛けが明かされて、ついページを逆戻りしたくなりますよ。
本当に犯人になったけど……
宣伝文句にある通り、読み終えた段階で、僕はちゃんと犯人になりました。ただ、ラストの切れはちょっと微妙。
ありかなしか、この結末は議論が分かれそうですね。
僕としては、ぎりぎり許容範囲内かな?
個人的には、自分が犯人になった衝撃よりも、読者に罪悪感を抱かせないようにする、作者の心配りが印象的でした。
一応、人を殺してしまったわけですが、後味の悪い終わり方ではなくて一安心。
最後の文章からは、著者である深見さんの優しさが伝わってきますね。
こんな人に読んでほしい
『最後のトリック』は、普通のミステリーに飽きてしまった人におすすめです。文章トリックも見事で、決してアイデアだけで書ける作品はありません。
著者の筆力の高さに、あなたも圧倒されるはず!
こっちもおすすめ!
僕が今まで読んだ本の中で、常識破りの推理小説といえば、東野圭吾さんの『私が彼を殺したこの作品、なんと最後まで犯人の名前が明かされません!
読者が本文中のヒントを頼りに、自分で推理する形式です。
謎が解けたときの爽快感はたまりませんよ。
さいごに
『最後のトリック』は、高校生が本のプレゼンを競い合う「ビブリオバトル」で取り上げられていました。他にもいろいろな作品が紹介されていましたが、みなさんしゃべるのが上手で感心しますね。
僕も文章で本の魅力が伝えられるように頑張ります。
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