筒井康隆さんの『時をかける少女』を読みました。
有名な作品ですが、なぜか今まで話を知らなかったんですよね。
今回はその感想を書きますが、一部ネタバレしているのでご注意を!
あらすじ・概要
主人公はどこにでもいる普通の女子高生、芳山和子。彼女は理科実験室で謎の薬品のにおいをかいでから、時空を移動する能力を手に入れます。
薬品を作った犯人を捜すため、時を過去へとさかのぼると、そこには衝撃の真実が……
最後は胸が切なくなる、青春SFミステリーです。
ちなみに、僕が読んだ角川文庫版には、『時をかける少女』のほかに、2つの短編が収録されていました。
それぞれ簡単に内容を紹介しておきます。
悪夢の真相
盤若の面を異常に怖がってしまう女の子、昌子が、友人と一緒に恐怖心の原因を突き止める物語。途中ホラーっぽくなってビビりましたが、ちゃんと落ちがあって安心しました。
果てしなき多元宇宙
主人公の暢子が、別の宇宙にいる自分と入れ替わってしまうお話です。そこは彼女の理想が叶えられた世界でしたが、だんだんと違和感が強くなってきて……
終わり方が中途半端で、尻切れトンボな印象でした。
感想・レビュー
意外とあっさり
昔、映画になった作品なので長編だと思っていたら、意外にも短い話でびっくり。文体も読みやすくて、すぐに読み終えてしまいました。
主人公が「時をかける」回数もそんなに多くないですね。
もうちょっと能力のタネ明かしを先延ばしにしてもいい気がします。
もちろん、テンポが速いから面白いのかもしれませんが……
謎解きのわくわく感にもっと浸っていたかったです。
予想が大外れ……
「薬を調合したのは絶対先生だ!」と予想していたら、みごとに裏切られました。まさか友達の一夫くんが犯人だとは……
先生がやたらと超常現象に詳しいのはひっかけだったんですね。
一夫くんが火災現場に現れたときの「パジャマ」の話も巧妙で、すっかり騙されました。
よくできた推理小説を読んだような感覚です。
未来の描写がリアル
興味深かったのが、一夫くんが語る未来の様子。就職に必要な教育期間が長くなり少子化が進むというのは、妙にリアルです。
大学に行くのが当たり前になって、晩婚化が起きている今の日本みたいじゃないですか?
状況がそっくりなので、解決策もそのまま応用できるかもしれませんね。
自立する年齢を下げて少子化を食い止める発想は、僕にはなかったなあ……
あと、タイムリープや空間移動に道具を使わないのも新鮮でした。
人間がもともとすごい能力を持っていて、それを薬で引き出すなんて面白い発想ですよね。
タイムマシンやどこでもドアもいいけど、自力で時空を自由に旅できるのも夢があります。
こんな人に読んでほしい
『時をかける少女』は、普段あまりSF小説を読まない人に読んでほしい作品です。ミステリー要素もあるので、先が気になってどんどんページをめくってしまいますよ。
Kindle Unlimitedは無料体験もやっているので、まだの人はぜひどうぞ!
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こっちもおすすめ!
僕が今まで読んだSFミステリーの中でおすすめなのが、乾くるみさんの『スリープ』。コールドスリープによって未来で目覚めた天才少女が、自分が眠っている間の出来事を探る物語です。
悲しすぎるラストに、あなたもきっと涙が出るはず!
さいごに
『時をかける少女』は潔い終わり方で、読後感がさわやかでした。能力も記憶も残らないのは切ないですが、ハッピーエンドには違いありませんからね。
これからはラベンダーの香りを嗅ぐたびに、この話を思い出してしまいそうです。
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