こんにちは、はしもりです。
久しぶりに本屋さんに行ったら、ずっと読みたいと思っていた伊坂幸太郎さんの『サブマリン』を発見!
金欠にもかかわらず、迷わず購入しました。
最近はKindleの本ばかり読んでいたので、紙の本の良さを改めて実感しています。
場所は取るけど、手でページをめくるのはやっぱり落ち着きますね。
あらすじ・概要
『サブマリン』は、家庭裁判所の調査官をテーマにした連作短編『チルドレン』の続編にあたる話です。家裁調査官の武藤が、自分勝手で適当な上司、陣内とともに、罪を犯した少年たちと向き合います。
今回彼らが担当するのは、無免許運転で死亡事故を起こしてしまった19歳の少年。
不自然なほど素直な態度に、武藤は違和感を覚えます。
果たして、事故の裏に隠された真実とは……
子どもの犯罪という暗いテーマを扱っていながら、読んだ後には心があたたかくなる作品です。
感想・レビュー
陣内さんに憧れる
登場人物の中で、僕が一番好きなのが、武藤の上司の陣内さん。一見雑なようで、実は物事を深くとらえている鋭さがたまりません。
自分勝手な人ほど、考え方にしっかり芯がありますよね。
どんな場面でも動じない強さがあるというか。
本当に困ったときに頼りになるのは、真面目な先輩よりこういうふざけたタイプなのかもしれません。
そんな陣内さんのセリフで最高だったのが、調査対象の小山田俊への言葉です。
小山田君が、陣内さんに「そんなに家に来るなんて友達みたいだ」と言うと、「友達が遊びに来ているんだろうが」と一蹴。
いやー、僕はこれを読んでちょっと泣きそうになりましたよ。
素で子どもと対等にしゃべれるのは才能だと思います。
伏線の回収が見事
伊坂さんの作品では、いつも伏線とその回収が見事で心地いいんですよね。今回もやっぱり爽快でした。
陣内さんが会っているおじさんは誰?とか、頭のいい高校生はどこで活躍するの?とか、伏線であるとわかっているのに、その落ちを予想させない匙加減が絶妙です。
わかりそうでわからない、ぎりぎりの構成はいったいどうやって作っているのか……
陣内さんが少年たちのために熱心に行動していたことが、ラストになって次々と明らかになる展開には、心の中で歓声を上げてしまいました。
文章表現がうますぎて音楽がいらない
みなさんは小説の中で実在する音楽が出てきたら、その曲を調べて聴いてみますか?僕は全くといっていいほど聴きません。
後でたまたま耳にして、「ああ、こんな曲だったんだ」となるパターンが多いです。
なんで聴く気にならないのか、理由をよく考えてみると、
・単純に面倒くさい
・小説の描写で満足
・イメージと違ったら嫌だ
といった感じ。
とくに2番目が大きいです。
文章だけで充分音楽の良さが伝わってきて、わざわざ音を聴く必要性を感じないんですよ。
ただ、今回読んだ『サブマリン』に出てきた、ローランド・カークさんのジャズは ちょっと気になりました。
音というより、サックス3本を同時に演奏する姿を映像で見てみたいですね。
目が見えないのに、本当にそんなことが可能なのか……
Youtubeに動画がないか探してみようかな。
さいごに
伊坂さんの作品には、たまにグロいシーンや拷問の描写が出てきますが、今回はそれがなくてホッとしました。やっぱり穏やかなのが一番ですね。
表紙の素朴な絵も、話の雰囲気にマッチしていてお気に入りです。
『チルドレン』、『サブマリン』シリーズの続編が出ることに期待します。
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