メモは記録でなく思考。前田裕二『メモの魔力』を読んだ感想。

メモは記録ではなく思考。前田裕二『メモの魔力』を読んだ感想。


前田裕二さんの『メモの魔力』を読みました。

やることは意外と単純で、後は実行するかどうか。

習慣的に続けていけば、相当な力になりそうです。

感想・レビュー

記録より思考が大事

「メモ」というと情報を記録するためのものだと思い込みがちですが、前田さんが重視しているのは、そこからさらに一歩踏み込んで思考を深めること。

この本で紹介されているメモ術の基本は、見聞きした出来事やニュース(ファクト)に対して、

・それはどういうことか(抽象化)
・どう使えるのか(転用)

を考えて紙に書くというもの。

気になった情報をただ記録するだけでなく、自分の頭を使って、価値あるアイデアに変換するのがポイントです。


本書では、より詳しいテクニックや具体例も解説されていましたが、本質的にすべきなのはこれだけ。

日々「抽象化」と「転用」を繰り返すことで鍛えられる思考力と創造力こそが、「メモの魔力」の正体でした。

転用の着地点を見極める

このメモ術で意識しなければならないのが、抽象化によって得た気づきを、どこに転用するのか。

前田さんは「転用すべき他の具体課題がないと単なるゲームで終わってしまう」と書いていて、実際やってみると、まさにその通り。

転用の着地点と自分との距離が遠すぎると、せっかく生み出したアイデアを活用できず、メモがただの思考訓練になってしまいます。


たとえば、僕が書いたメモの一つがこちら。

伊坂幸太郎の小説は面白い(ファクト)

いつもハッピーエンドなので安心感がある(抽象化)

ブログの最後はポジティブに締めよう!(転用)


これって、ブログをやっていない人にとっては、全然役に立たないですよね?

抽象化で浮かんできた発想を生かすためには、転用する先を、自分の興味・関心の範囲内に設定する必要があります。


しかし、そもそも「自分のやりたいこと」を見つけるのが難しいところ。

前田さんは前著の『人生の勝算』で、自分の人生に「軸」を持つ必要性を強調していますが、この本でも結局そこに行きついています。

自己分析は超絶ハード

後半で解説されていたのが、その「軸」、すなわち人生の指針をあぶり出すための自己分析の方法。

抽象化と転用の枠組みを用いて、1000個の問いにひたすら答えていくというものです。


一つの問いに対して、ノート見開き2ページを使うことになっていて、かなりの作業量。

一応、「メモで自分を知る」と題は付いているものの、もはや軽々しく「メモ」と呼べないくらいガチな内容でした。

果たして、これを最後までやり通せる読者がいるのか……?

僕の場合、一つ目の質問であっけなく撃沈しました(泣)


ちなみに、巻末にはSNSで募集した1000人の「人生の軸」が載っていたのですが、「自分の気持ちに正直に生きる」みたいなフワッとした回答が多い印象。

内心「だからその「自分」が何かを聞いてるんだろーがっ!」とツッコミつつ、僕と同じくまだ明確な指針が見つかっていない人が大勢いてホッとしました。


さいごに

僕はブログを書いていることもあって、それなりにメモを取る方ですが、筆記量では前田さんの足元にもおよびません。

この『メモの魔力』は最近流行りのアウトプット本の中でも、群を抜いて著者の本気度が伝わってきました。

抽象化と転用はすぐに実践可能なので、ぜひこれからの生活に取り入れていこうと思います。


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