AmazonのKindle Unlimitedで、松山ルミさんの『新卒で“給食のおばさん”になりました』を読みました。
「給食」と聞くとまず思い浮かぶのは学校ですが、この本の舞台は病院。
僕は過去にIBDで何度か入院したことがあり、病院食がどうやって作られているのかはずっと気になっていたんですよね。
やはり現場の裏側は大変そうで、今さらながら感謝の気持ちでいっぱいになりました。
若手とおばちゃんの職場
全体として印象的だったのは、働いているのが著者のような若手かおばちゃんばかりで、中間である30代後半から40代の年齢の方がほぼ登場しなかったこと。
これは女性が結婚や出産の時期に仕事を離れる、いわゆる「M字カーブ」というやつですね。
学校の社会の授業で習ったけど、遠い昔の話だと思っていました。
作中では著者の先輩は結婚を機に退職しており、あとがきによれば、松山さん自身も出産のため就職から5年でこの仕事を辞めたそう。
恋愛や男女関係に疎い僕には実感が湧きませんが、こうした傾向は地域や職種によっては今もまだ顕著なのかもしれません。
また、表紙の絵からわかる通り、このコミックエッセイはおばちゃんの顔の描き方がインパクト絶大でした。
いやー、鼻の穴の大きさ(笑)
まあ、制服せいで服も髪も隠れてしまうので、人物の描き分けが難しいのは理解できるんですけどね。
本人たちはこれを見てどんなリアクションをしているのかな?
方言やエピソードなど、当事者が読めば自分だとわかる情報が満載の中、ここまでストレートに描写できる松山さんは相当な度胸の持ち主です。
「特食」は大変
僕はIBD患者なので、入院したときはいつも他の患者さんとは違う専用の食事が出されます。
この本ではそうした「特食」を準備する苦労が描かれていて、僕も面倒をかけていたんだなと申し訳なくなりました。
IBDで入院した場合、主食は基本おかゆで、3分粥や5分粥など、症状の改善に伴って米粒の量が変化。
おかずも、野菜が軟らかく茹でられていたり、消化に悪い食材が取り除かれたりしてあり、栄養士さんや調理師さんの細かい配慮には頭が下がります。
ちなみに、僕の入院した病院では、一つのおぼんが冷たいゾーンと温かいゾーンの半分に分けられていて、おかゆや味噌汁は温かい方、冷ややっこやジュースは冷たい方に配置されていました。
どういう仕組みかはわからないけれど、やたらにハイテク。
大抵は温かい部分に食器が集中するので、運ぶときはバランスを保つのが難しそうでしたが、食べる側としてはとてもありがたかったです。
さいごに
病院の給食は、決められた時間内で大量の食材を調理して配膳まで行わなくてはならず、要領の悪い僕には絶対無理な仕事だと思いました。
患者さんに応じてメニューを作り分けるなんて、もはや神業ですね。
給食のおばさん、そしておねいさん、おいしい食事をありがとう!