東野圭吾さんの『危険なビーナス』を読みました。
この本は、ドラマを見ている母に「原作が気になるから買ってきて」と頼まれて購入。
東野さんの小説は家族も読むので、感想を語り合えて楽しいです。
※以下の感想にはネタバレを含みます。
危険なビーナス (講談社文庫) [ 東野 圭吾 ]
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危ないのは主人公
「危険なビーナス」という題名から、周囲を惑わす魔性の女が出てくる話を想像していたのですが、実際に読んでみると、単純に主人公が惚れっぽいだけでした。
たいして誘惑されているわけでもないのに、弟の妻と名乗る女性にここまで感情的になるなんて、ちょっと引くレベルですね。
終盤では懲りることなく動物病院の助手にアプローチしていて、この人は結婚してもすぐ浮気するタイプだなあ、と思いました。
素直といえば聞こえはいいけど、現実世界だったらそこそこ危険な人物です。
ちなみに、僕が買った文庫本にはドラマ版の特別カバーがかけられていて、主要キャストの写真が載っていました。
小説を映像化すると大体「それは違う……」となるのですが、この作品に関しては割と僕のイメージ通り。
とくに主演の吉高さんと妻夫木さんは、登場人物のキャラにぴったりな配役でした。
映画化された『マスカレード・ホテル』シリーズは個人的にキムタクの違和感がすごかっただけに、今回はギャップに苦しまずに済んでほっとしています。
数学の神秘
この本で事件のカギとして登場したのが、数学の「ウラムの螺旋」。
僕は初耳だったので、さっそくネットで調べてみたのですが、画像を見てもいまいち数学的な意義がピンときませんでした。
一応模様らしくはなっているものの、素数「ではない」数字に規則性があるだけで、素数自体の分布は捉えどころのない気まぐれなものに感じます。
やっぱり「寛恕の網」じゃないとダメか……。
ただ、整数問題に関しては、京大の望月教授がABC予想を証明したと主張していて、近々本当に大きなブレイクスルーがあるかも。
以前読んだ『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』によると、ABC予想の証明が確かなら、他の未解決問題も一気に片が付くそうです。
望月教授の理論は斬新すぎてまだ完全には受け入れられていないみたいですが、『危険なビーナス』の一清さんのように、宇宙の真理ともいえる謎が、誰かの頭の中だけで解き明かされていることは、あってもおかしくないと思います。
さいごに
『危険なビーナス』は、母が読んでいるのを見て興味を持ったのか、普段小説には関心を示さない父も読んでいました。
感想を尋ねてみると、「たくさん登場人物が出てきたのに、ストーリーの展開はシンプルだった」とのこと。
たしかに、相続争いはそこまでドロドロしておらず、思ったより淡々と話が進みましたね。
我が家には大した財産はなさそうですが、親やきょうだいとは日ごろから良好な関係を保っておくのが一番です。