問題中心っぽいタイトルですが、中身は読み物が主で、途中に例題が挿入されているような構成。
久々に真剣に思考を働かせて、脳に汗をかきました。
大切なのは抽象化
本書のテーマである「メタ思考」の根幹をなすのが、抽象化。
具体的な事象から特殊性を取り払い、本質的な構造や法則を見つけ出す作業です。
抽象化によって得られた知見は、分野や領域にかかわらず、幅広く応用することができます。
読んでいて「あれ、この話どこかで見たよなあ……」と思いました。
そう、前田裕二さんの『メモの魔力』ですね。
『メモの魔力』では、自分が見聞きした「事実」をもとにして、そこから何がわかるのか(抽象化)、どう使えるのか(転用)をメモすることで、アイデアを生み出す方法が述べられていました。
今回読んだ『メタ思考トレーニング』は、ビジネスにおける抽象化の実践例がたくさん載っていて、『メモの魔力』の内容がより補強されたような感じ。
紙とペンを用意して、久しぶりにまた思考メモを取りたくなりました。
答えがないから考える
この本では、問題が出て解説がなされた後、答えのない「応用問題」が多数出題されていました。
正解が示されないのは少しモヤっとしますが、すぐに答えを見てサボれないのはいいところ。自分で考えざるを得ないので、真面目に頭を使うことができました。
TOEICなどの試験問題と違って、「生きた問い」に取り組んでいる感覚があって楽しかったです。
僕が思うに、自分でも問いを立てやすいのは、次の2つのパターン。
・ある手法がAではうまくいくのにBでは成功しないのはなぜか。
・ある物事の影響でAはこうなった。では、Bはどうなると予想される?
A、Bには、個別の商品やサービスだけでなく、国や業界、世代など、いろんなものが入れられます。
題材はなんでもOKなので、暇なときは自作の問題でトレーニングを重ねましょう!
ちなみに、個人的に印象に残ったのが、「タクシーと土産物屋の共通点は?」という問題。
解説を読むと、今書いているこのブログにも通じるものがありました。
どんな客層(読者)をターゲットにするのか、ちゃんと狙いを定めないとダメだなあ……。
さいごに
「メタ思考」自体は、誰でもある程度は無意識のうちに行っていると思います。
しかし、自ら積極的に問いを探している人は、一体どれほどいるでしょうか?
頭を錆びつかせないためにも、日ごろから「なぜ?」と疑問を持つ姿勢を忘れないようにしたいですね。