『鬼滅の刃』も『進撃の巨人』も傑作だけど、「人死に」の多さに耐えかねる。面白さを享受するには覚悟が必要。

進撃の巨人』の1~3巻を読んだ。

ずっと前にKindle版が無料になっていて、とりあえず「0円で購入」していたのだが、なんとなくそのままになっていた。

最近、最終巻である34巻が発売されたというニュースを見て、「そういえば……」と思い出した。

読んでみての感想は、率直に面白い。続きが気になる。

巨人と対峙した極限状態の中で描かれる登場人物の行動や感情の変化には、それぞれの個性が強く反映されており、真に迫るものがあった。


しかし、4巻目以降を買うかと訊かれると、簡単には手が伸びない。

あまりの「人死に」の多さに、僕の脆弱な精神が耐えかねるのだ。


読む側としての覚悟

大ブームになった『鬼滅の刃』も、随所に人が惨殺されるシーンがあり、読み進めるのがつらかった。

傑作であることに異論はないが、小さな子どもたちが躊躇なく楽しんでいるのには驚く。僕なら中学生くらいのときに読んでも、トラウマになっただろう。


別に、「グロい」とか「暴力的」だなどと言って、作品をけなすつもりは全くない。

ただ、たくさんの死人が出る作品に接するにあたっては、読む側にも相応の覚悟が求められると思う。

ハッピーエンドだからといって、途中の凄惨なシーンは帳消しにはならない。

いままで僕は、「面白い」ということさえわかっていれば、どんなマンガも受け入れてきたが、たとえフィクションであっても、人の死を目にするたびに、自分の大事な部分がすり減っていく感覚がある。

今回『進撃の巨人』を読んで、精神的なダメージの大きさを改めて認識した。

僕には自分のメンタルを守るための意識が足りなかった。

心の平穏を保つため、これからは内容を精査して、読む作品を取捨選択していこうと思う。


現在、我が家では弟が『呪術廻戦』を全巻揃えようとしているが、僕は人死にの多さを察知して、1巻も手を出さずにこらえている。

本屋さんにも大量に平積みされており、面白さは折り紙付きだ。弟も薦めてくる。でも、読まない。

大人になった僕のささやかな抵抗である。