寒い寒いと思っていたら、いきなり暑くなって桜が開花し、3月も終わり。
というわけで、今月も読んでよかった本を3冊選んで紹介します。
よかった本ベスト3(2025年3月)
第1位:新装版 じゃあ君が好き
絵本作家ヨシタケシンスケさんのイラスト集。
普段の生活の中で描き溜めたスケッチを集めたもので、一貫したテーマのある「作品」とは違いますが、だからこその自由さとままならなさを感じます。
日常の中で遭遇する細かい気づきや感情の動きをかわいい絵で拾いあげてくるヨシタケさんの感性は唯一無二。
「そこに目をつけるのか」「その絵にそのセリフをつけるのか」と、ささやかな驚きの連続でした。
ヨシタケさんの絵は一見簡単なようでいながら、立体感をしっかり意識して描かれており、真似しようとすると意外と難しいです。
第2位:本漫画
星新一作品の挿絵などで有名な和田誠さんが「読書」をテーマに描いた漫画の作品集です。
セリフなしの1枚の絵でストーリーを想像させ、くすりと笑わせる手腕はお見事。
図書館で見つけて面白いなと眺めていたら、いつの間にか最後のページまでたどり着いていました。
和田さんのイラストでは人物や風景が簡略化されて描かれていますが、たぶんピカソと同じで元々の画力が高いからこそ、少ない線で伝えたいことを的確に表現できるのだと思います。
ちなみに、ヨシタケシンスケさんの方はガチの絵はあまり得意ではないそう。
和田さんもヨシタケさんも、一目でその人とわかる画風を確立していてすごいなと思います。
第3位:文藝春秋2025年3月号
芥川賞受賞作が2作品とも載っているということで買ってみました。
文藝春秋を購入したのはこれが初めてですが、やはり新聞などの記事と雑誌の記事とでは雰囲気が違いますね。
なんというか「読ませるぞ!」という強い意志を感じます。
あと、広告がめっちゃ多い(笑)
1万円が当たるパズル懸賞には2つとも応募したので当選したらうれしいです。
芥川賞受賞作については作者へのインタビューや選評も併せて読めるのがよかったです。
『DTOPIA(デートピア)』はテーマ性のはっきりした重ためな話。人種問題とか性の多様性とか、メディアで取り上げられすぎてもうぶっちゃけ「小説でまでは触れなくていいよ」と思ってしまうような題材が真正面から描かれていました。
たぶん普通なら手に取らなかった作品ですが、恋愛リアリティショーというキャッチーな設定を主軸に据えることで、僕のような当事者意識の薄い人間にも読ませる作戦が見事に成功しています。
『ゲーテはすべてを言った』はとても23歳の青年が書いたとは思えないほど円熟味を感じる作品。終始落ち着いていて、主人公にこんなに感情の起伏がない芥川賞作品も珍しいなと思いました。
文藝春秋という一冊の雑誌の中に通俗的な雑誌記事と単純な価値基準では測れない純文学とが共存しているのは面白いです。
さいごに
3月は普通の小説もそれなりに読んでいたのですが、ヨシタケさんや和田さんの絵の方が刺さりました。自分では絵も文章もうまく書けないのが残念ですね……。
いつか頭の中の想いを言葉やイラストでさらっと表現できるようになりたいです。
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