【レビュー】新川帆立『元彼の遺言状』を読んだ感想

【レビュー】新川帆立『元彼の遺言状』を読んだ感想


新川帆立さんの『元彼の遺言状』を読みました。

これは、強い。


新川帆立 (著)


感想・レビュー

前評判から予想していたよりだいぶ面白かった。文章の読みやすさとか、構成とか、小説としてのレベルが「このミス」大賞作品の中では頭一つ抜けているのではないかと思った。新川さんは近いうちに直木賞を取りそう。この一冊だけでもそれくらいの筆力を感じた。

ミステリーとしては、遺言状の意図や死の真相という大きな謎を追っていく中で、周囲の人物間の隠された関係性が徐々に明らかになっていく作り。小さな驚きが何度もあって楽しかった。最終的にそれぞれの登場人物がバランスよく話に関わっていて、痒いところにきちんと手が届いている作品だった。

ポトラッチという概念や遺言状が無効になる条件など、学びがあるのがまたよい。法律系の用語を物語に必要な最低限だけ説明してさっと流していくスピード感も気持ちよかった。エンタメとしての完成度に脱帽。まさに「このミステリーはすごい」と思った。


さいごに

先に『帆立の詫び状』を読んでいたので、主人公の剣持麗子の生き様に新川さんがだぶって見える部分がありました。

これからも小説への熱い愛で、どんどん面白い作品を描いていただきたいです。


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