山田宗樹さんの『百年法』を読みました。
舞台は不老不死(病気や事故はあり)が実現した社会。寿命を制限する法律、「百年法」をめぐる物語です。
アイデア勝負のSF小説かと思ったら、あまりにリアルな描写に圧倒されました。
未来の描写が切ない……
小説の中では、物語の随所に、未来チックな描写がありました。でも、出てきたのは、養殖昆虫を使った料理や、全自動なのに時速40kmしか出せない車など、なんだか残念なものばかり。
それなのに、「きっとこんな感じになるんだろうなあ」と思ってしまから不思議です。
中でも、特に切なかったのが、世界の中で日本だけが衰退していく様子。
ある意味これが一番リアルなのが悲しいですね。
時代の変化にうまく対応できないところが、今の日本と重なります。
技術力で中国や韓国に抜かれるのは、近い将来現実になりそうです。
もっと明るい未来が想像できる社会になって欲しいですね。
永遠の命はいる?いらない?
テーマが不老不死ということで、どうしても、生きる意味について考えさせられます。登場人物たちも、生と死に対して、様々な意見を述べていました。
永遠の命が手に入るなら、皆さんはそれを望みますか?
僕の答えは「ノー」です。
際限なく生き続けることって、そんなに楽じゃないですよね。
いつか終わると分かっているから、毎日頑張って働くし、前に進もうと努力できます。
もちろん死ぬのは怖いけど、やっぱり人間には「終わり」が必要ではないでしょうか。
自分の考えを大切にしよう
物語のラストは、不老治療を受けた人が、特殊な病気によって皆死んでしまうという衝撃の展開。自然な死を受け入れた人だけがより長く生きるなんて、なんだか皮肉ですよね。
一番かわいそうなのは、自分の意思に反して、周りに流されて不老治療を受けてしまった人。
きっと悔やんでも悔やみきれないでしょうね。
自分の考えは大切にすべきだと、改めて思いました。
さいごに
上・下巻に分かれていて、とても長い話でしたが、面白くて一気に読んでしまいました。描写のリアルさもさることながら、物語の展開が素晴らしかったです。
ちなみに、僕が読んだときは、上・下巻ともにKindle Unlimited読み放題の対象でした。
Kindle Unlimitedでは、こんな感じで傑作が登場することがあって楽しいんですよね。
まだ入っていないなら、無料体験を試してみるのがおすすめです。
【Kindle Unlimited無料体験を試す】
関連記事:世界の名作が勢ぞろい!Kindle Unlimitedで読める光文社古典新訳文庫おすすめランキング。
関連記事:【比較】AmazonのAudible(オーディブル)とKindle Unlimitedはどっちがいい?それぞれのメリット・デメリットまとめ。