【洋書レビュー】A. J. Jacobs『Thanks A Thousand』を読んだ感想。1杯のコーヒーへの感謝の旅は、味わい深いドキュメンタリー。

【洋書レビュー】A. J. Jacobs『Thanks A Thousand』を読んだ感想。1杯のコーヒーへの感謝の旅は、味わい深いドキュメンタリー。


こんにちは、はしもりです。

僕は最近、Kindleで洋書を読むのにはまっています。

今回は、その中で面白かった、A. J. Jacobsさんの『Thanks A Thousand』という本を紹介します。

これを読むと、たった1杯のコーヒーがとても愛おしくなりますよ。



Thanks A Thousand: A Gratitude Journey (TED Books)


あらすじ・概要

この本の著者のA. J. Jacobsさんは、自ら実験的な試みをして、それを本にしているジャーナリスト。

今回の企画は、毎朝飲んでいるコーヒーにかかわっている人々に、直接感謝を伝えるというものです。

その数、なんと1000人!

コーヒーショップの店員や豆を育てる農家はもちろん、水の安全を守る局員や、工場で働く労働者にまで、わざわざ会いに行ってお礼の言葉を述べています。

きれいごとでは済まされない仕事の実態や、感謝の負の側面にも触れられていて、思わず考えさせられる内容でした。


感想・レビュー

感動話というよりドキュメンタリー

著者が感謝を伝えるためにいろいろな仕事現場を訪れる様子は、まるでドキュメンタリー番組のようでした。

個人的に面白かったのは、ニューヨークの水資源を管理する職員への取材

飲み水のもとになる湖には、普通に生き物が生息していて、魚釣りまでできるんだそう。

また、ニューヨークの水道水がおいしいと評判で、ヨーロッパでも売られているというのも知りませんでした。

軟水といえば日本のイメージでしたが、ニューヨークでもそうなんですね。


ただ、ダムが建設された町の住人たちの言葉には悲しいものが……

湖の底に自分が住んでいた家が見えるのは、なかなか切ない光景です。

僕たちが水を飲めているのも、誰かの犠牲のおかげだと実感しました。

意外とドライな人が多い

本書を読んで印象的だったのが、仕事に対する考え方の違い。

情熱を持って働いている人ももちろんいますが、「仕事は生活のため」と割り切っている人が多くて驚きです。

まあ、実際のところ、みんながみんな自分の仕事にやりがいを感じているとは限りませんよね。


著者の感謝に対する反応も、喜んだり、怪しんだり、苛立ったりと人それぞれ。

たくさんの人に感謝して心温まる話かと思いきや、かえって現実の厳しさが伝わってきました。

次の挑戦が楽しみ

著者のJacobsさんは、これまでにもいろんなことに挑戦しています。

僕は日本語訳で読みましたが、どれも面白いですよ。

たとえば、『聖書男(バイブルマン) 現代NYで 「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記』では、1年間聖書の教えを忠実に守り、現代ではありえない生活をしています。

他にも、あらゆる健康法を実践したり、世界最大の百科事典を読破したりなど、労力のいる企画が多いです。


今回の本も、1000人以上とコンタクトをとるのは相当大変だったはず。

中には電話やメールで感謝を伝えるパターンもありましたが、最後に載っているリストの長さは圧巻でしたね。

次は何をやってくれるのかわくわくします。



Thanks A Thousand: A Gratitude Journey (TED Books)


さいごに

『Thanks A Thousand』は、コーヒーにまつわる雑学もいっぱいで、読んでいて楽しい一冊でした。

実は僕、コーヒーは全く飲まないんですけどね(笑)


ちなみに、JacobsさんはTEDトークでもプレゼンを披露しています。

本の内容も紹介されているので、ぜひ聴いてみてください。


A. J. JacobsさんのTEDトーク


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