トゥルゲーネフの『初恋』を読みました。
主人公の純粋な恋心に、読んでいるこちらまでドキドキ。
いやー、青春だなあ……
あらすじ
16歳の夏、別荘で過ごしていたウラジミールは、離れに引っ越してきた公爵令嬢のジナイーダに恋をする。医者や詩人、伯爵など、他の男たちも彼女への愛を表明する中、少年の気持ちは高まるばかり。
ジナイーダの思わせぶりな言動に一喜一憂する。
ところがある日、ウラジミールは、彼女が誰かに恋をしていることに気づく。
なんとその相手は、彼の尊敬する父親だった……
感想
飾りのない恋心
この小説では、登場人物がみな恋愛に対して正直で、なんだかうらやましくなりました。好きな相手に堂々と愛を宣言するなんて、普通できないですよね。
たとえ振られたとしても、気持ちを伝えられるだけ素晴らしいです。
僕の初恋なんて……恥ずかしいから止めにしておきます（笑）
ただ、これほど恋愛に夢中になれるのかは、僕にとっては未知数。
ウラジミールはジナイーダに出合った日の夜、「片足でくるくる三回ほど回転」し、キスされたときには「跳ねたりわめいたり」していましたが……
いつかそんな高揚感を味わえるくらい、誰かを好きになれたらうれしいです。
父親の気持ちは？
ウラジミールの父親はセリフが少なく、本心がよくわかりませんでした。ジナイーダの腕に鞭を打ちつける様子はDVそのもので、共感しにくい人物です。
死ぬ直前には、ジナイーダの結婚を知って涙を流していましたが、個人的にはそこまで深くは愛していないのだと思っていました。
また、ウラジミールへの最後の手紙に書かれた、「息子よ、女の愛には気をつけるように。女の愛がもたらす 幸 にも毒にも気をつけるがいい」の意味は果たして？
父親からすると、ジナイーダに裏切られたことになるんでしょうか。
彼も財産目当てで主人公の母親と結婚しているのに、自分勝手な気がします。
昔のロシアの身分制度は厳しい
先日読んだドストエフスキーの『白夜』もそうでしたが、ロシアの古典作品には、どの家庭にも当たり前のように召し使いがいて驚きます。お金持ちだけでなく、貧乏な設定でもそうなのは、かなりの違和感。
一般市民と奴隷階級の区分けがはっきりし過ぎていて恐ろしいです。
関連記事：ドストエフスキー『白夜/おかしな人間の夢』を読んだ感想。暗い現実には夢が必要？
『初恋』の場合、登場人物がみな貴族レベルなので、使用人も多数。
所々で現れる彼らの描写は、青春を謳歌する主人公たちとは対照的で、明るい恋愛の話に陰影をつけていました。
さいごに
解説によると、『初恋』はトゥルゲーネフの実体験をもとにした話だそう。父親の恋人を好きになるなんて、本当にあるんですね。
それを小説として発表する精神力の強さはあっぱれです。
関連記事：【比較】AmazonのAudible（オーディブル）とKindle Unlimitedはどっちがいい？それぞれのメリット・デメリットまとめ。
関連記事：【必聴】面白くてためになる！Audible（オーディブル）で絶対聴くべきビジネス書おすすめ５選。
