Kindle Unlimitedで光文社古典新訳文庫の『トム・ソーヤーの冒険』(マーク・トウェイン)を読みました。
前半は少し冗長でしたが、残り3分の1くらいから急に緊迫感のある展開に。
途中で読むのを止めなくてよかった!
あらすじ・概要
やんちゃでいたずら好きの少年トムと、その仲間たちの武勇伝。女の子に一目惚れしたり、家出して海賊ごっこをしたり、墓地で殺人の現場を目撃したり。
折り重なったエピソードの先に、危険な冒険が待ち受けている。
感想・レビュー
前半は平和的
『トム・ソーヤーの冒険』は、前半と後半でだいぶ雰囲気が違いました。初めの方は、ハプニングが起きても「まあ、それくらいが平和だよね」と思える、『赤毛のアン』みたいな読み心地。
トムが腕白さを発揮して悪さをしてはいるものの、穏やかな日常の範囲内でした。
この部分で印象的だったのが、現代との慣習の違い。
とくに以下の点に関しては、自分の感覚とのズレが大きかったです。
・変な迷信が多い
・体罰が厳しすぎ
やたらとおかしな迷信が出てくるのは、やはり宗教の影響でしょうか。
あれだけ自由に振舞っているトムやハックが、魔女や幽霊を本気で怖がっているのは滑稽でした。
また、学校に遅刻したお仕置きとして、容赦なく鞭打ちが行われていたのにはびっくり。
「サザエさん」でカツオが廊下に立たされているのも今では考えられませんが、それとは比べ物にならない、ショッキングな体罰でした。
当時の教師には、それだけの権限があったということなのかな?
後半は命懸け
物語の後半は一気に緊張感が増してきて、ドキドキしながら読みました。そこまでの日常パートは正直退屈だったので、ちゃんと盛り上がってくれてよかったです。
引き込まれたのは、悪役のインジャン・ジョーとの遭遇シーン。
こいつがなかなか恐ろしいやつで、主人公たちが鉢合わせるたびに、僕も一緒にビビってました。
油断していると「ここで!?」というタイミングで現れるんですよね……。
トムがベッキーと洞窟に閉じ込められる場面も、子ども向けの本とは思えないくらいの追いつめられ方で、ひょっとしたら助からないんじゃないかと思ったほど。
序盤はほのぼのしていますが、タイトル通りトムはしっかり「冒険」していました。
まさかの続編あり
『トム・ソーヤーの冒険』のラストは、ハックがいまいち新しい生活になじめないという、すっきりしない終わり方。著者が言うには……
いつの日か物語の続きをふたたび語り、少年少女がどんな大人に成長したかをのぞいてみるのも悪くないかもしれぬ。それゆえ、いまは 黙して語らぬが 賢明 というものであろう。(跋より)
き、気になる……。
翻訳者の解説を読むと、この言葉通り『ハックルベリー・フィンの冒険』という続編があるみたい。
調べてみたら、すでに光文社古典新訳文庫から刊行されていました。
Kindle Unlimitedで読み放題になっているのは上巻だけだったし……
図書館に置いてあるといいなぁ。
さいごに
日本では児童文学として有名な『トム・ソーヤーの冒険』ですが、翻訳者のあとがきによると、原文は大人にとっても難しいそうです。この光文社古典新訳文庫では訳文も手加減なしに書いたということなので、これから読む人は、それを頭に入れておいた方がいいかもしれません。
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