先日、父がやたら熱心に本を読んでいたので、こっそりカバーを外してみたところ、出口治明さんの『還暦からの底力』でした。
僕の父はすでに60歳を超えていて、現在は65歳までの延長雇用の真最中。
きっと本屋さんでタイトルを見て、何か思うところがあったんでしょうね。
父が出かけた隙に僕も読んでみましたが、とても前向きな内容だったので安心しました。
長く働いて健康維持
出口さんの主張は、定年を廃止し、年齢に関係なく働ける社会を作るというもの。
社会保障の面からだけでなく、高齢者自身の健康寿命を延ばすためにも、長く仕事を続けることが大切だと述べていました。
実際、父の様子を見ていても、家にいるときはテレビを眺めるくらいしかすることがなく、所在なさげ。
このまま仕事を辞めてしまったら、あっと言う間に寝たきり老人になってしまうのではないかと心配です。
やっぱり、一日の中である程度の時間は強制的に動くことが、気力と体力を保つためには必要ではないかと思います。
まあ、本人はそこまで仕事が好きなわけではなさそうですけど(笑)
子どもとしては威厳を失った親の姿は見たくないので、できれば生涯現役でいてほしいですね。
ちなみに、定年廃止については、少し前にAudible(オーディブル)で聴いた安宅和人さんの『シン・二ホン』でも真剣に論じられていました。
安宅さんは、社会の多様性を森にたとえ、せっかくの人材を年齢で区切って一律に「伐採」するのはもったいないと述べていて、うまい比喩だなと感心。
同じ趣旨の話でも、出口さんと安宅さんでは、取り上げる数字やエピソードが違って面白かったです。
理想はオール・サポーティング・オール
これからの日本で重要だと思ったのは、全世代が支える側に回る「オール・サポーティング・オール(All Supporting All)」という考え方。
今の日本の社会保障は、年金制度に代表されるように「ヤング・サポーティング・オールド(Young Supporting Old)」が主流になっていますが、少子高齢化が進めば、それが成り立たないのは明らかですよね。
むしろ高齢者の方が経済的に余裕がある場合も多いので、資産を持った高齢者から困窮した若者にお金が回るシステムがあってもいいはず。
僕はまだ20代だけど、難病患者で完全に「支えられる」側なので、年齢だけで弱者と強者を決めるやり方には違和感を覚えます。
個人的には、年齢を基準にする年金よりも、所得に応じてお金を分配する「生活手当」みたいな仕組みがいいと思うのですが、どうでしょう?
ただ、年金に対してどんなに素晴らしい代替案を考えたところで、切り替えのタイミングで「今まで支払った年金をどうするのか」という面倒な問題を解決しなければなりません。
制度設計をするときは、うまくいかなかった場合の「終わらせ方」をきっちり考えておかないとダメですね。
さいごに
僕の仕事はお客様対応が中心で、いつも高齢者の割合の多さには驚きます。
そして、みなさん総じて元気!
僕は周りに比べると長生きできる望みは薄いですが、せめて還暦までは生き延びられるように頑張ります。