「かおり」に敏感。

12月の終わりごろ、遠くに住んでいる親戚から突如毛布が届いた。

大きなダンボールを開けると、家族全員分ある。

僕の部屋はやたらに寒く、ちょうど寝るときにもう一枚かけるものが欲しいと思っていたところだったので助かった。

さっそく使ってみると、サラサラとした手触りながら、非常に暖かい。

青色の涼し気な見た目に反して、湿気に反応して熱を発する機能性繊維を使用した商品だった。

どうやって手に入れたのかは不明だが、値札シールに書かれている値段は1枚2980円(税抜)。

親戚にはしっかり感謝のメールを送っておいた。


ところが、それから3日ほど経って、体の異変に気付いた。

手足がむずむずし、あごまでかゆい。

もしやと思って、それまで毛布、掛け布団、タオルケットの順にかけていたのを、タオルケットが一番下にくるように入れ替え、毛布が直接肌に触れないようにした。

すると、翌日からむず痒さは解消。

どうやら毛布の特殊な生地が、肌に合わなかったようだ。

僕はユニクロのヒートテックを着ても肌がヒリヒリするので、発熱機能のある繊維全般に弱いのかもしれない。


この話を母にすると、「あんたはかおりがダメなんだね」と言われた。

僕は別に布団がくさいと思っているわけではない。

なんだか話が噛み合っていないようで、「変なにおいがするとは言ってないんだけど……」と答えると、

「だから肌がかおりに敏感なんでしょ!」と返された。

???

一瞬戸惑った後、謎が解けた。

母の言う「かおり」は、鼻で感じる「香り」ではなく、化学繊維でできた織物をさす「化織」だった。

味噌汁をつぐ「お玉」のことも、かっこよく「レードル」と呼ぶ母。

たまに飛び出すスタイリッシュな語彙に、今後も注目していきたい。