カマスは、さんまのように細長い魚で、口がひょっとこみたいに伸びているのが特徴。
オーブンで焼くとき皿に載せにくいのが難点だが、身はふんわりしていて美味である。
1週間ほど前、いつも行く本屋の近くのスーパーで、カマスの「開き」が売られているのを発見した。
干したり、味付けしたりされているわけではなく、単純に頭を落として身を開いた生の状態。
試しに買ってみたところ、焼くのが楽で食べやすく、脂ものっていて最高だった。
今日もカマスの開きを見つけ、喜び勇んで購入した。
ところが、焼いてみると、水分が抜けて、干物の「アジの開き」のような質感に。箸でつつくと表面は硬く、前回のときとは全く別物になってしまった。
焼く前の見た目は新鮮そうで、絶対おいしいと確信していただけに、ショックは大きかった。
日ごろから魚をよく食べていると、同じ時期に獲れた同じ産地のものでも、一匹一匹味が異なり、生き物の個体差を実感する。
別に魚だって人間に食べられるために生まれてきたのではないし、おいしさにバラつきがあるのはしょうがない。
人間は他の動物に捕食される心配もなく、ただ「食べる側」として、食事の心配をすればいいのだから贅沢な話である。
果たして、命を食らって生きるのと、命を与えて死ぬのとでは、どちらの方が幸せなのだろうか?
いただいたカマスを血肉に変えて、僕はブログを書いている。