取得義務をギリギリになって知ったため、6月は有給休暇を3日も取りました。
しかし、休みだからといって、たいしてやることもなく、結局は暇を持て余してばかり。読書とブログが僕を退屈から救ってくれます。
そんなわけで、今月も本の感想を書いていきましょう!
※補足
タイトルに「Kindle Unlimited」と付けているのは、AmazonのKindle Unlimitedを利用して読んだ本です。
読書記録(2021年6月)
イニシエーション・ラブ(Kindle Unlimited)
イニシエーション・ラブ (文春文庫) [ 乾 くるみ ]
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宣伝通り、「必ず二回読みたくなる」作品でした。
僕は途中でなんとなく違和感に気づきましたが、最後まで確信には至らず。時系列を整理しながら読み直してやっと意図を理解し、ゾッとしました。
ネタバレしそうで何も書けないけど、単なる思い付きでは書けない小説なのは確かです。
ただ、驚きはしたものの、話自体にはそこまでの深みがなく、1回目読み切るのはちょっと苦痛。
それなりにページ数があるので、ミステリーとしての仕掛けにプラスして、物語にテーマ性があってほしかったなあ、とは思います。
個人的には、伊坂幸太郎さんの『アヒルと鴨のコインロッカー』みたいに、文章そのものを読んでいて楽しい作品が理想です。
大家さんと僕(Kindle Unlimited)
大家さんと僕 [ 矢部 太郎 ]
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Kindle Unlimitedの対象になっていたので読みました。
以前ネットで一部が無料公開されているのを見ましたが、何度読んでも素敵な作品ですね。
優しい絵のタッチや控えめな落ちの付け方に、矢部さんの人柄が表れていてほっこりします。
まるでフィクションみたいに現実感のない大家さんのお茶目さがたまりません。
続編の『大家さんと僕 これから』も読みたいところですが、それ以上に、新刊の『ぼくのお父さん』が気になる……。
矢部さんのお父さんが絵本作家なのは驚きですが、だからこそ矢部さんの漫画はこんな作風なのかな?
Where the Crawdads Sing(洋書)
なぜかKindle版が200円以下で買えたアメリカのベストセラー。自然の中で生きる少女の成長が瑞々しく描かれていました。
湿地帯の熱気や木々のざわめき、生き物の鳴き声が伝わってくるようで、作者が動物学者なだけあります。
小説の書き方として見事だったのが、3人称での視点の自由さ。
同じ章のなかで視点が切り替わっても違和感がないのは、主語を明示するのが当たり前の英語ならではでしょうね。
日本語訳の『ザリガニの鳴くところ』も本屋大賞(翻訳部門)を取っていますが、原書とはだいぶ印象が違うと思います。
マイ国家
マイ国家 (新潮文庫 ほー4-8 新潮文庫) [ 星 新一 ]
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久しぶりに読んだ星新一のショートショート。
新潮文庫のシリーズのうち、どれが未読かおぼろげで、本屋さんで表紙を眺めながら吟味して「えいやっ!」と買ってきました。
きっと、この本は初めて……のはず(笑)
星さんのショートショートは、ずっと昔に書かれた作品なのに、全く古さを感じさせないのが特徴。
今回読んだ『マイ国家』も、出版年を確かめたところ、初版は僕が生まれる前の昭和51年で驚愕しました。
時代を超えても変わらない人の価値観や普遍性を捉える星さんの眼力には脱帽ですね。
『マイ国家』に収められた31篇の作品のうち、僕がとくに面白いと思ったのは、
・特賞の男
・調整
・逃げる男
・宿命
など。個人的には、落ちのはっきりしている話が好みです。
ちなみに、僕が本を読むようになったのは、小学生のときに母が買ってきた星新一のショートショートがきっかけ。
自分が小説を書くならこんな作品が書けたらいいなと思う、あこがれの作家さんの一人です。
書くことが思いつかない人のための文章教室
学生たちからのありがちな質問に答える形で、文章のコツを解説した一冊。
独自のメソッドやノウハウが出てくるわけではなく、正直地味な内容でしたが、読み進めるごとにじわじわと効いてきました。
著者は普段から学生の書く文章に触れているだけあって、下手な人の文章のどこが残念なのか、よくわかっているのでしょう。
時折示される的確な指摘に刺されました。
僕が気をつけようと思ったのは、以下の3点。
・読点の位置で誤解を招くような文は、短い文に書き分ける
・「も」を多用し過ぎない
・ありきたりな決意表明や誓いで文章を終わらせない
ブログの場合、無意識に決意表明で文章を締めがちなので、別のバリエーションも考える必要がありますね。
結びの一文をどうするのか、なかなか難しい課題です。
さいごに
最近、小説の執筆に挑戦してみたのですが、原稿用紙5枚分の作品を仕上げるのに1週間かかりました。
小説はブログと違って、いつまでも言葉選びにこだわってしまい、推敲にきりがなくて大変ですね。
ただ、そのぶん達成感も大きいので、いつか短編を書き溜めて、作品集を出したいです。
※追記(2021/7/31)
7月分の感想も書きました。
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