【2021年8月】今月読んだ本の感想まとめ。蒸し暑い夏は読書で乗り切る。

【2021年8月】今月読んだ本の感想まとめ。蒸し暑い夏は読書で乗り切る。


新型コロナが流行してからご無沙汰していた図書館に、最近になってようやく行けるようになりました。

本屋、図書館、Kindleの3本立てで、僕の読書生活はますます充実!

というわけで、今月も本の感想を書いていきます。


※補足
タイトルに「Kindle Unlimited」と付けているのは、AmazonのKindle Unlimitedを利用して読んだ本です。



読書記録(2021年8月)

情報通信技術はどのように発達してきたのか

原始的な腕木(うでぎ)通信から現代の光通信にいたるまで、情報通信技術の変遷の歴史を一通り概説しています。

科学的な原理については定性的な説明にとどまっていますが、それぞれの技術が普及、衰退した事情が詳しく解説されていて、実用化の段階において、どんな点が課題になるのかがよくわかりました。

元々特性の違う「電話」や「放送」が、デジタル化によって「通信」と統合されていく流れを辿ることは、現在の情報インフラを理解するうえで大きな助けになるでしょう。


技術的な面で驚いたのは、光ファイバーの細さ。

光ファイバーがガラスの2層構造になっているのは知っていたけれど、中心のコアの直径がたった0.01mmしかないとは……。

外側の層を含めても直径わずか0.125mm。そんな極細のガラス線を長いケーブルに加工できる技術に感心します。


ちなみに、僕は腕木通信という言葉を聞いたことがなく、表紙の紹介文を見ても「???」でした。

まるで巨大な手旗信号みたい。実際にこれが大事な情報をやり取りするのに使われてたのかと思うと、なんだか滑稽ですね。

カバーいらないですよね(Kindle Unlimited)

くせのある客たちを試行錯誤しながらさばいていく書店員の様子を描いたコミックエッセイ。

そういえば、本屋さんってバリバリの接客業だったな、と改めて実感しました。

僕は本が好きなので、書店でバイトしたいと思ったこともありますが、人あしらいがうまくないとできない仕事ですね。

本屋のルールを、衝突を回避しつつお客さんに守らせるには、高度なコミュニケーション能力が必要です。


客としては、僕はいつも一番上の本を取らず、下の本を買ってしまうので、店員さんからは白い目で見られているかも。

とりあえず万引きにだけは間違えられないように、怪しい行動はなるべく控えるようにしたいです。


この作品は、鉛筆で描いたような温かみのある絵のタッチが素敵でした。

何を考えているのかわからないお客さんたちの表情もまた絶妙です。

物語を忘れた外国語

著者の物語に対する愛が炸裂したエッセイ。

ライ麦畑でつかまえて』や『ボッコちゃん』など、知っている作品が取り上げられていてうれしかったです。

チェコ語にまで訳されているとは、星新一、恐るべしですね。


黒田さんは、自分の苦手な言語の作品に挑むときは邦訳と原著を並べて読んでいて、大して英語力もないくせに洋書を読んだ気になっている自分が恥ずかしくなりました。

能力の高い人ほど、外国語単体での理解の限界を自覚している……。

僕も背伸びせず、じっくり言語を味わおう!


意外だったのは、言語学者が必ずしも文学好きではないこと。

科学の専門が領域ごとに細かく分かれているように、言語の研究者にもそれぞれの持ち場があるようです。

でも、やっぱり黒田さんのように、分野を横断して「言葉」そのものを楽しんでいる人が最強。

彼のエッセイを読むと、毎回いい意味で力が抜けます。

トラックドライバーにも言わせて

著者は女性の元トラックドライバー。タイトルの「言わせて」には、実感がこもっていました。

トラックドライバーの仕事は、「延着」も「早着」も許されなかったり、自分で荷物の積み降ろしをやらされたりと、「運ぶ」以外に要求されることが多く、超過酷。

これから仕事がつらくなったときは、「トラックドライバーよりはマシだ」と思えば、乗り越えていけそう……。

トラックの運転は機械での自動化は困難、というかたぶん不可能なので、なり手を絶やさないためにも待遇を改善してあげてほしいです。


また、最近はドライバーの高齢化が社会問題になっていますが、僕の肌感覚では、世代を問わず運転が下手な人が増えている気がします。

僕も運転免許を持ちながら、事故を起こすのが怖くてハンドルを握れないので、人のことは言えないのですけれど。

免許を取得した後も気軽に運転の練習ができる場所があれば、ドライバー全体の技術が底上げされて、事故も減るのではないでしょうか?

トラックドライバーが仕事をしやすくするには、周りの交通がスムーズであることも大切。

道路を一から整備し直すのは大変ですが、義務教育でもっと突っ込んだ交通の授業をするなど、やれることは他にもたくさんあると思います。

元素変換 現代版〈錬金術〉のフロンティア(Kindle Unlimited)

錬金術っぽい最先端技術をいろいろ並べて概説する本かと思ったら、特定の研究について、これまでの軌跡と展望を掘り下げて紹介する内容でした。

研究の有用性を必死に強調する感じが、大学時代に参加した研究発表会みたいで懐かしかったです。

科学の研究は、単純に好奇心で現象を調べたくても、頑張って「役立つアピール」をしないと研究費がつかないのが悲しいですね。


正直、元素変換は、現象自体が起こるのが確かだとしても、条件が特殊で、適用できる元素も限られるので、実用化は厳しいのではないかと思います。

ただ、「なぜ常温で核融合が起きるのか」というメカニズムの詳細がわかれば、応用範囲がぐんと広がり、ブレイクスルーを起こすかも。

原子の性質を理解するという観点では、非常に興味深い研究です。

新装版 最期のメッセージ(Kindle Unlimited)

カテゴリーとしては星新一さんと同じく「ショートショート」に分類されるようですが、話の雰囲気は全く別物でした。

どこか近未来的でSFチックな星新一さんに対して、阿刀田さんの作品はもっと身近で卑近な印象。

くだらない落ちの作品も多いけど、文章が洗練されていて、熟練の厚みを感じました。

ショートショートは奥が深い……。


ちなみに、阿刀田さんは公募ガイドで「TO-BE小説工房」というコーナーを担当していて、僕も何回か短編小説を書いて応募しました。

結局全部落選してしまったのですが(泣)

このコーナーは11月号で終了だそうで、寂しいです。

medium 霊媒探偵城塚翡翠(Kindle Unlimited)

ネタバレになるので詳細は書きませんが、ミステリ好きへの挑戦状みたいな作品でした。

本の表紙に「すべてが伏線」とあったので、僕なりに構えて読んでいたのに、真実は見破れなかった……。

予想していた着地点より、もっと向こう側に著者の仕掛けがありました。

「霊媒」という、曖昧でつかみどころのない設定がうまく活用されていますね。

話としての面白さよりかは、「そんな裏切りありか!」と、驚きの方が大きかったです。

密やかな結晶(Kindle Unlimited)

香水やバラ、鳥など、身の回りのものが一つずつ消えていく島が舞台の物語。

対象が物質として消え去るわけではなく、見たり触れたりしても何も感じ取れなくなる「消滅」の設定が儚く、そしてきれいでした。

よくある「もし○○が消えたら」みたいな実験的な小説とは全く趣が異なります。

小川さんのしとやかな文章は寂しげな世界観にぴったりで、本当にどこかにこの島があって、今にも消えようとしているのではないかと思いました。


作中で主人公が書く小説は、まさかの展開で絶句。

劇中作と本編のラストが絶妙に重なり合っていて、切ない気持ちが増幅されました。

最初と最後での主人公とR氏の立場の変化が心にしみます。

英語の読み方 ニュース、SNSから小説まで

英語の4技能の基礎となる「読む」に焦点を当てて、英文読解のコツや勉強法を解説しています。

非常に役に立ったのが、新聞や雑誌記事などで用いられる独特な構造の英文について。

とくに、見出しには時事英文ならではの特殊な文法が存在すると知って、いつも英語のニュースを読んで感じていたもやもやが晴れました。

これ、学校で教えてくれたらいいのになあ……。


本書を読むと、生きた英文を読みこなすには、受験英語に比べ、はるかに高いレベルの語彙力と文法力が要求されることが分かります。

「自分はリーディングはそこそこできるけど、リスニングは苦手」と思っている人には、ぜひご一読願いたいですね。

きっと、自分が「そこそこ」にも英語を読めていないことに気づき、愕然とするのではないでしょうか。


ちなみに、僕は著者の紹介していた『Merriam-Webster's Vocabulary Builder』のペーパーバック版をアマゾンで即刻注文しました。

まだ700ページ中50ページぐらいしか取り組んでませんが、なかなかに素晴らしいボキャブラリー構築本です。



職業としての小説家

本屋さんで平積みされているのを見て、手に取った一冊。

実は、村上さんの小説は『海辺のカフカ』と『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の2作品しか読んでいないのですが、有名な作家なので、どんな人なのかはずっと気になっていました。

この『職業としての小説家』では、村上さんが自身の仕事観について「です・ます」調のやわらかな文章で語っており、誠実な人柄がよく伝わってきました。


印象としては、意外と「普通」。

もちろん「凡人」だと言いたいわけではなく、真っ当で良識的な考え方をする人だという意味です。

彼の小説が広く読まれるのは、人格の基礎を形作る普遍性によるものなのかな、と感じました。


また、「書きたい」という自発性を大切にするスタイルは、「嫌々ながら仕事と割り切って文章を書いている」と公言する森博嗣さんとは、方向性が対照的。

小説家にはいろんな人がいて、みなそれぞれのやり方で創作と向き合っているんですね。

もし自分が小説家を目指すなら、どちらかというと村上春樹方式を採用したいです。(資質があれば……)

アフリカ少年が日本で育った結果(Kindle Unlimited)

カメルーン生まれ、日本育ちの著者によるコミックエッセイ。

プロっぽくない素朴なタッチの絵で、人物の表情が生き生きと描かれていました。

ダイナミックな表現はアフリカ出身の著者ならでは、と思ってしまうのは、やっぱり先入観?

作中でも繰り返し取り上げられていますが、外国人(とくに黒人)のインパクトは強烈で、見た目の印象を理性で覆すのは難しいです。


笑ったのは、カメルーンの紙幣(1万CFAフラン)に描かれた女性が誰なのか、著者を含め地元の人たちがみな知らなかった話。

たしかに、肖像画の人物を覚えていなくても、お金は使えるから問題ないけど(笑)

結局答えは書かれておらず自分でネットで調べてみたのですが、僕の検索能力では女性の名前はわからずじまい。

一体この女性は何者なのか、気になる……。(ひょっとしたら特定の誰かではなく、ただの「女性」の可能性あり)

小説の言葉尻をとらえてみた(Kindle Unlimited)

小説に出てくる気になる単語や言葉遣いを、著者が辞書編纂者の視点で解説した一冊。

本当に細かい部分にばかり着目しており、まさに「言葉尻をとらえる」のタイトル通りの内容でした。

ストーリーに関しては、簡単な紹介はあるものの、ネタバレはなく、作品が未読でも既読でも楽しめます。

参考までに書いておくと、取り上げられていた小説のうち、僕が読んだことがあるのは以下の作品です。(意外と少なっ!)

・『桐島、部活やめるってよ』(朝井リョウ)
・『オレたちバブル入行組』(池井戸潤)
・『グラスホッパー』(伊坂幸太郎)


興味深かったのは、時代小説でも現代語が使われていたり、物語の舞台ではなじみのない作者の出身地の言葉が出てきたりするところ。

そういう言い回しは校閲の段階で修正されると思っていたのですが、意外と許容範囲が広く、小説の懐の深さを感じました。

人によっては頻繁に使う「愛用語」があるみたいなので、好きな作家さんの本を読むときは探してみるのも楽しいかもしれません。

僕も、伊坂幸太郎さんの「それはあれだ」は、確かによく目にするなあ、と思いました。


さいごに

冒頭で久しぶりに図書館に行ったと述べたのですが、新型コロナのせいでまた休館になってしまいました。

ち、く、しょー(小梅太夫風に)

返却期限が延び延びになった貸出本が、本棚の片隅に寂しげに鎮座しています。