小説は自由で難しい

平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』を読んでいると、かぎ括弧の中、セリフの終わりに律儀に句点がついていた。一般的な小説指南本には、かぎ括弧の文章の最後に句点はつけない、と書いてある。個人的に、平野さんはそういうところに厳格な作家だと思っていて、なんだか意外な感じがした。僕はいまだにLINEでも句点をつけるタイプの人間なので、ちょっと親しみが湧く。

小説を読んでいると、「そういう書き方もありなのか!」、と著者独自の技法に感心することが度々ある。視点の切り替えや表記法も作家さんによってまちまちで、それぞれに特徴的な流儀がある。小説のルールなんてあってないようなもので、書き手が書きやすくて読者が読みやすければ、それが正解なのかもしれない。

ただ、書き方が自由だからといって、書くのが簡単なわけではない。実際、自分で小説を書こうとすると、凝り固まった文章にしかならず、「自由に書く」ことの難しさに愕然とする。

適当に書いてもとりあえずは記事として成立するブログとは、小説は「何か」が決定的に異なっている。その「何か」が見つからなくて、僕にはまだ小説が書けない。


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