4月に読んだ本の中から、よかった作品を3つ選んで紹介します。
今回は珍しく、3冊すべて紙の本で読んだ作品でした。
よかった本トップ3(2025年4月)
第1位:青い壺
あまりにもいろんなメディアで紹介されているので僕のランキングからは外そうかと思ったのですが、これはよすぎ。
1970年ごろという時代設定が絶妙で、今の時代に読むからこその面白さがありました。
やわらかい文体で非常に読みやすいので、「古い作品だから難しそう」という理由で躊躇している人がいたら、気にせず手に取ってみてほしいです。
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第2位:滅私
できる限り物を減らして生活する「ミニマリスト」がテーマの小説。
「ミニマリスト」という言葉にはどこか胡散臭い響きがありますが、この作品を読んでその不信感がどこからくるのか、はっきり理由がわかりました。
これ、ミニマリストとして活動してる人が読んだら、一体どう思うんだろう……。
ラストはちょっとやり過ぎな気がしますが、ある意味とても小説らしい落ちだと思います。
第3位:国歌を作った男
いろんなジャンルの短編が13作品収録された、宮内悠介さんの作品集。
宮内さんの本を読むのは初めてでしたが、どの作品も朝の澄み切った空気のようにきれいな文章で、読んでいて心地よかったです。
『パニック――一九六五年のSNS』と『国歌を作った男』はドキュメンタリー風のフィクションですが、あまりにも設定がそれっぽかったので、途中まで本気で取材を元にしたノンフィクションだと勘違いして読んでました。フィクションだと気づいたときの恥ずかしさといったら……。
いきものがかりの水野さんとコラボした『南極に咲く花へ』はYouTubeで歌が聞けるようになっていたので、ぜひ「国歌」も作曲してネットに上げてほしいです。
番外:ヨイヨワネ(あおむけ編・うつぶせ編)
絵本作家ヨシタケシンスケさんの日々のスケッチの中から「弱音」を集めて本にしたもの。
最初は「あおむけ編」と「うつぶせ編」のどちらを買うかで迷っていたのですが、どうせ最終的には両方買ってしまう気がしたので、思い切っておまけ(「あおむけとうつぶせのあいだ手帖」)付きの「ヨイヨワネ あおむけ&うつぶせBOX」を購入しました。
値段的にはちょっとお高めですが、個人的には大満足。
ただ、他の本と同列に扱うのはどうかと思うので、今回は「番外」としておきます。(半分は応援の気持ちで買ってます)
ヨシタケさんの放つ「弱音」は、かわいらしいイラストながら、破壊力抜群。
飾らない絵と言葉はネガティブな方向にもストレートに刺さってくるので、鬱気味の人は読むのを避けた方がいいかもしれません。
心の柔らかい部分に触れてくる感じ。これが前向きな共感になるかどうかは受け取る側の気力次第ですね。
ちなみに、「あおむけ編」と「うつぶせ編」のどちらか一方を選ぶなら、「あおむけ編」をおすすめ。
内容自体にそこまで大きな差はないのですが、暖色系の色が使われている「あおむけ編」に比べ、寒色系の色でイラストが塗られている「うつぶせ編」は、負の引力をものすごく強く感じます。(要するに、雰囲気が暗い、ということ)
色が違うだけでこんなに印象が変わるものなのかと2冊読み比べてびっくり。
もし自分で「弱音」をスケッチするときは、できるだけ明るい色を使おうと思いました。
さいごに
少し前までは理系の知識本がマイブームだったのですが、だんだん「どうせ勉強しても役に立たないし」と虚しくなってきて、最近は小説ばかり読んでいます。その前は「架空の話なんて読んでも……」と虚しくなって小説から離れたのですが(笑)
なんだかんだいっても本を読むこと自体を虚しく感じることはなく、いろんなジャンルをぐるぐる回っているだけなのは不思議ですね。
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