ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』を読みました。
このシリーズを読んでいる間だけは、イギリスが身近に感じられます。
感想・レビュー
ブレイディみかこさんの書く文章を読むと、社会を外から眺めているだけでは、実際にそこで生活する人々が見ている景色は目に映らないのだと痛感する。もちろんご本人の経験や文才もあるだろうし、実際ものすごく文章にセンスを感じるのだけれど、やはり一番大きいのは現地で育った息子さんの視点があることだと思う。そういう意味でこのシリーズは貴重な作品で、おそらく続編が出ないであろうことがとても寂しい。今作(2巻目)を読んで特に印象的だったのは、息子さんが学校で出される課題の難しさ。答えの決まっていない実践的な内容は、「これからあなたたちは自力で生きていかないといけないんですよ?」と諭されているようで、甘えがない。大人でも苦労しそうなものなのに、息子さんは投げ出すどころか積極的に取り組んでいて頭が下がる。僕は日本の学校ではそこそこ優秀な学生としてやり過ごせたけれど、きっとイギリスで生まれていたら落ちこぼれていただろう。
貧困格差や人種差別など、社会問題を凝縮したような町の様子は相変わらず。何をするにしてもなかなか前に進まない日本も残念ではあるが、政府の方針一つですぐ雇用や住む場所に影響が出るイギリスでは落ち着いて生活することすらできないと思う。デモなどの政治活動が活発なのも、政策が暮らしに直結すると考えればうなずける。少なくとも今のところは、ぼーっとしていてもなんとなくで生きていける日本の環境に感謝したい。
さいごに
我が家で取っている新聞にはたまにブレイディみかこさんのコラムが載っていて、いつも楽しみにしています。普段はスルーしてしまう「意識高い系」の問題も、ブレイディさんの文章だと興味深く読まされてしまうから不思議。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 』シリーズはこれで終わりみたいですが、いつか息子さんのその後を本やコラムで書いてくれると嬉しいです。
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