【2020年5月】今月読んだ本の感想まとめ。人生に答えはないとしみじみ思う。

【2020年5月】今月読んだ本の感想まとめ。人生に答えはないとしみじみ思う。


朝晩と日中の気温差が激しく、着る服に迷う初夏の5月。

僕は扇風機を壁に向けて、心地よい気流を作り出すのにハマっています。

今月はそんな柔らかな風を浴びながら、本の感想を書いていきます。

※補足
タイトルの後ろに「Kindle Unlimited」と付けているのは、AmazonのKindle Unlimitedで読んだ本です。読み放題の対象は定期的に変わるので、もしダウロードする場合は価格の表示にご注意ください。
Kindle Unlimited公式サイトはこちら


先月の感想:【2020年4月】今月読んだ本の感想まとめ。本屋も図書館もお休みなので、Kindleで読書。


本の感想(2020年5月)

日本一カンタンな「投資」と「お金」の本(Kindle Unlimited)

いわゆる「長期積み立て分散投資」についての入門書。

投資に回すようなお金はないけれど、資産運用には興味があるので読みました。


結局実感したのは、投資はすでにある程度の現金を持っていて、経済的に余裕がある人がやるものだということ。

派遣社員で、この先仕事が続けられるのかも怪しい低所得者は、お呼びではなかったですね。


そもそも、投資はお金を「稼ぐ」のが目的ではなく、資産を「増やす」ための手段。

元手が少なければ当然リターンも小さいので、「少額投資でも長く続ければお金持ちに!」とはいかないのが現実です。

実は似たような本はこれまでに何冊か読んでいるのですが、毎回モデルケースの投資額を見て冷めます(笑)


長期積み立て投資は、一見簡単そうでいて、頻発する株価の乱高下によるストレスや資産の管理かかる手間など、金銭面以外の負担も無視できません。

本当にそれに見合うだけのメリットが得られるのかは、始める前にしっかり考えるべきだと思います。

僕の場合、月3000円くらいなら実験的な試みとして積み立ててもいいですが、資産形成を目指して本格的に資金を投入するのは、メンタルが弱いので無理。

精神の安定を保って投資をするには、「失っても困らないお金」の範囲内じゃないとダメですね。

知らないと恥をかく世界の大問題10

AmazonのAudible(オーディブル)で聴きました。

池上彰さんが世界の政治や経済、国際情勢について解説するシリーズの第10弾です。

元になった新書は2019年6月発行でかなりのタイムラグがありますが、1年遅れでも充分聴く価値のある内容でした。


Audible公式サイトはこちら


僕が誤解していたのが、関税を払うのが誰なのか。

たとえば、アメリカが中国から製品を輸入する場合、関税を払うのは中国側ではなくアメリカの輸入業者で、それが商品の値段に上乗せされる仕組みだそうです。

トランプ大統領は輸出国が関税を支払うと思い込んでいたらしく、僕も同じ勘違いをしていました。

一応、新聞は毎日欠かさず開いているんですけどね……。


現在、アメリカと中国の関係は大きな転換点を迎えていて、「ペンス演説」がその象徴だったようですが、それも全く把握しておらず。

自分の無知を反省しつつ、ツボを押さえた池上さんの解説に拍手です。

ヒキコモリ漂流記 完全版

お笑い芸人「髭男爵」、山田ルイ53世の半生記です。

「引きこもり」と一言では片づけられないハードな経験を、軽快な筆致で綴っています。

意外な文章のうまさもさることながら、人としての一線を越えかねないエピソードの数々は強烈なインパクト。

何かから逃げ出すときの大胆さ、振り切り方には目を見張るものがありました。

彼の兄弟は、今一体どうなっているんだろう……。


実は、僕も大学を卒業してから約3年間、病気で社会と隔絶された生活を送っていました。

だいぶ方向性は違いますが、共感できたのは、周囲の「普通」な人々を目にした時の焦燥と、空白期間は必要なかったと思うこと。

なんだかんだ言っても、人生つまずくことなく歩んでいけるのが一番です。

簡単には笑い飛ばせない過去に、ルネッサーンス!

テロリストのパラソル(Kindle Unlimited)

都心の公園で起きた爆発事件の謎を、そこに偶然居合わせた主人公が追っていくミステリー。

テロや学生運動、やくざなど、僕が苦手な話題が盛りだくさんでしたが、物語にぐいぐい引っ張られて最後まで強引に読まされました。

江戸川乱歩賞と直木賞をダブル受賞しているだけあって、重厚で骨太な作品です。


ホームレスが重要な役割を担っているところは、東野圭吾の『容疑者Xの献身』を彷彿とさせますが、事件の様相は全くの別物。

事件の裏側に流れる物語のスケールの大きさが、僕の想像の域を超えていました。

大勢の死傷者が出る爆発事件に対して、それに見合うだけの犯人と動機を用意するのはとんでもない所業だと思います。

こんな小説、もう出会うことはないだろうなあ……。

To Pixar and Beyond(洋書)

作品ばかりが注目されがちな「PIXAR(ピクサー)」の経営面にスポットを当てた一冊。

CFO(最高財務責任者)として雇われた著者が、出資者であるスティーブ・ジョブズとともに奔走し、会社を軌道に乗せていくまでの舞台裏が語られています。

ディズニーとの契約はなかなかにシビアで、夢の国も緻密な経営戦略の上に成り立っているのだな、と実感しました。

せっかく対等な関係になれたのに、最終的には会社の成長を維持するために買収してもらうというのは面白いですね。


ちなみに、僕は英語の原書で読みましたが、この本は日本語訳も出ていて、タイトルは『PIXAR  世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』。

たしかにその通りだけれど、訳し方があまりにも露骨で笑えます。

「エンターテインメントの歴史を作る旅」が「お金の話」になってしまうとは……。


また、僕はジョブズがPIXARのオーナーだったとは知らず、「ここにもジョブズかよ!」と思いました。

海外の実業家たちは、手広くいろんなことをやり過ぎです。

僕らが毎日やっている最強の読み方(Kindle Unlimited)

池上彰さんと佐藤優さんが、日々どのようにして新聞や書物と向き合っているのかを、対談形式でまとめた本。

予想通りインプットの量が化け物じみていて、技術うんぬんというより、知識に対する貪欲さが違いました。

「70の極意」自体はシンプルなので、あとは時間とお金をどれだけ投資できるかが問題ですね。


そもそも、普通はお二方のように本を書いたりテレビで解説したりする機会はないので、勉強が勉強のまま終わってしまう可能性大。

まずは知識を生かせる場を作り出すことが、最初にして最大の難関になりそうです。


池上さんと佐藤さんがそろって強調していたのが、紙の書籍の重要さ。

新聞やネットで情報を「知る」ことはできても、本で得た体系的な知識がないと「理解」できない、というのはその通りだなと思いました。

ニュースを見聞きするときの「上滑り感」の正体はこれか……。

いつまでも池上さんの解説に頼るわけにはいかないので、なんとなく避けてきた政治・経済系の本にもたまには挑戦してみます。


「死」とは何か(Kindle Unlimited)

イェール大学で人気を集める「死」を題材にした講義を書籍としてまとめたもの。

魂は存在するのか、死は悪いものか、自殺は許されるのかなど、さまざまな角度から「死」について考察しています。

一般的な哲学書と違い、著者自身の主張がはっきり述べられているので、議論の方向性に軸があって読みやすかったです。

納得できるかはともかく、シェリー先生の人柄が伝わってきて、親しみがわきました。


印象深かったのは、自殺の正当性についての話。

シェリー先生のきれいごと抜きの結論は、心にずっしり響きました。

こういう重たいテーマは一度真剣に考えて自分の中で整理しておくと、追いつめられたときでも冷静さを保てる気がします。


ちなみに僕が読んだのは、形而上学の部分がばっさり省略された縮約版。

Amazonのレビューを見ると「物足りない」といった批判も多いですが、個人的にはこれで十分満足でした。

むしろ完全版だと分厚過ぎて最後までたどり着けなかったと思うので、小難しいところを大胆にカットする編集の仕方はありがたかったです。

宇宙を目指して海を渡る

幼いころから宇宙研究に携わることを夢見ていた著者が、MITに留学し、NASAで働くまでの記録です。

コロナの外出自粛を受けて、Kindle版の価格が「0円」になっていたので購入してみました。

現在は通常の値段に戻っていますが、一定期間でも読み放題ではなく無料にしてしまうなんて太っ腹ですね。


小野さんの経歴は、理系の研究者としては理想そのもので、光り輝いて見えました。

僕よりも年上のはずなのに若々しさに溢れているのは、やっぱり夢があるから?

さすがに海外にまで行く元気はないですが、惰性で生きている自分に喝を入れられた気分です。


さいごに

毎月書いている本の感想は、僕にとっては思い入れのある記事です。

ブログの更新頻度は落ちても、読書記録だけは続けたい!

電子書籍や紙の本、洋書にオーディオブックと、いろんな「本」に癒されつつ、明日もゆるゆる生き延びます。


※追記
6月の感想も書きました。
 ↓
【2020年6月】今月読んだ本の感想まとめ。テッド・チャンの才気あふれるSFに舌を巻く。


関連記事:【便利】Kindleで洋書を読む5つのメリット。Kindleは最強の英語学習ツールだ!

関連記事:【比較】AmazonのAudible(オーディブル)とKindle Unlimitedはどっちがいい?それぞれのメリット・デメリットまとめ。