【2020年8月】今月読んだ本の感想まとめ。「ビブリア古書堂」のシリーズ再開に歓喜!

【2020年8月】今月読んだ本の感想まとめ。「ビブリア古書堂」のシリーズ再開に歓喜!


雨の日ばかりだった7月から一転、太陽が照りつけて気温が急上昇した8月。

家の中にいても夏バテ気味ですが、水がおいしく感じられるのがせめてもの救いです。

暑さでパソコンが壊れないことを祈りつつ、今月も本の感想を書いていきます。


※補足
タイトルに「Kindle Unlimited」と書いているのは、AmazonのKindle Unlimitedを利用して読んだ本です。


Kindle Unlimited公式サイトはこちら


読書記録(2020年8月)

ボクはやっと認知症のことがわかった(Kindle Unlimited)

認知症の権威である著者が、認知症になった当事者としての視点から病気について語った本です。

認知症はその実情を知ると、医療というより社会福祉の問題だなと感じました。

今のところ根本的な治療法は存在しないので、必要なのは本人と周囲の人々が症状を受け入れて暮らしていける環境づくり。

難病患者の僕としては、「治らないのが前提の病気」に対する公的な支援がもっと充実してほしいです。


特にどうにかすべきなのは、仕事。

病気を抱えていると、できる仕事が限られるうえ、健常者のふりをしないと面接で落とされることもあります。

働かなくてもお金をもらえるなら、それでも構わないんですけどね。

ハンデを背負った人が自力で収入を得られる仕組みを整備しないと、支える家族も疲弊して、生活がどんどん苦しくなります。

認知症からだいぶ話が飛躍してるけど、とにかく我が家の将来が不安……。

いっそベーシックインカムは実現できないのかと、真剣に考えてしまいました。

元気になるシカ!(Kindle Unlimited)

30代後半でがんを告知された女性漫画家さんのコミックエッセイです。

僕は自分がクローン病ということもあり、闘病記を見つけるとつい手に取ってしまいます。


マンガの中で印象的だったのは、病院との距離感。

抗がん剤治療といえばずっと入院して行うイメージだったのですが、意外と家にいる期間が長くて驚きました。

やっぱり吐き気や下痢は大変そうだけど、患者さんの自由度は昔より上がってきているみたいですね。

慣れてきたら日帰りで抗がん剤なんてびっくりです。


他人ごととは思えなかったのは、他の患者さんとのコミュニケーション。

Aさんとの最後のやり取りには心がぞわっとしました。

読んでいるだけでもつらいのに、藤河さんよく描いたなあ……。


重い病気の患者さんと接するとき、どう声をかけるのかは非常に悩ましいところです。

僕も長期入院の際、同室の患者さんと何度かしゃべりましたが、言葉が見つからず沈黙してばかりで、あまりいい思い出はありません。

唯一うれしかったのは、退院する人がボックスティッシュをくれたことくらいです(笑)


僕の場合、相手を傷つけるのも自分が傷つくのも怖いので、同じ病気の患者さんとの交流は極力避けるようにしています。

「患者会」なるものも存在しますが、参加してもまともに発言できる気がしません。

持病については、気持ちに余裕があるときにブログに書く程度がちょうどいいですね。

Harry Potter and the Philosopher's Stone(Kindle Unlimited)

「ハリー・ポッター」シリーズの洋書の1巻目です。

英語で読んだおかげか、僕が成長したからか、子どものころ映画で見たときよりめちゃくちゃ面白く感じました。

感想は長くなったので、別の記事に独立して書いています。


関連記事:【洋書】J.K. Rowling『Harry Potter and the Philosopher's Stone』を読んだ感想。英語でじっくり読むといろんな発見があって楽しい。


ハリー・ポッターはKindle Unlimitedで全冊読み放題になっているので、このままどんどん読み進めていくつもり。

果たして、最後までたどり着けるかな?

チーズはどこへ消えた?(Kindle Unlimited)

タイトルだけは知っていて、ずっと内容が気になっていたベストセラー。

100ページに満たない短い話で、あっという間に読めました。


物語のメッセージはシンプルで、一言でまとめるなら、

「状況が変化したのなら、さっさと受け入れて次に進もう!」

といった感じ。

いつまでも過去の栄光(チーズ)に固執する小人が哀れに描かれていて、「こいつにだけは絶対なりたくないな」と思わせる作りになっています。


ありきたりなテーマなのに引き込まれるのは、きっと「ダメなやつ」の思考回路を的確に捉えているから。

行動を起こさない小人が並べ立てる理論武装の中には、手放しでは笑えない箇所がちらほらありました。

「自分にも当てはまるかも……」と、内心ぎくりとしたのは僕だけではないと思います。

変化を拒む馬鹿らしさをありありと見せつけてくれて、目が覚めるような一冊でした。

天気の子(Kindle Unlimited)

大ヒットした新海誠監督の映画『天気の子』の小説版。

Kindle Unlimitedで読み放題になっていたのは角川つばさ文庫版で、子ども向けにすべての漢字に振り仮名が付いていました。

少し鬱陶しかったですが、自分も昔はこんな本ばかり読んでいたのだと思うと、なんだか感慨深いですね。

ちなみに内容自体は、通常の角川文庫版と一緒みたいです。


新海誠監督の作品は、前作の『君の名は。』も映画ではなく小説版で読みました。

『君の名は。』は完全にRADWIMPSの楽曲ありきでしたが、今回はそこまで音楽とリンクしている感じはなかったです。


どちらの作品でも共通していたのは、ストーリーの本筋から外れた部分の設定描写が、大胆に排除されていること。

たとえば『天気の子』の場合、東京以外の異常気象に対する言及はなし。気になる主要人物の過去エピソードにもほとんど触れられていませんでした。

個人的には「もっと説明してくれよ!」と思ってしまうのですが、余計な情報を入れない方が、物語のテーマが鮮明に伝わるんでしょうね。

文字ではなく、映像を意識しているからこその作風なのかもしれません。

ストーリーに即した設定しか描かれていないと、物語が終わった瞬間に、主人公たちの住む世界がシャボン玉のように弾けて消えてしまう気がして、刹那的な美しさを感じます。


あと、『天気の子』でやたらに目についたのが、食べ物の固有名詞。

カロリーメイトやからあげくん、チョコパイなど、身近な商品名がたくさん登場していました。

こういう登録商標って、権利関係はどうなっているのかな?

とりあえず、CMで見たカップヌードルを2分で食べるシーンは、小説でもしっかり確認できましたよ。

「ロウソクの科学」が教えてくれること

ファラデーの「ロウソクの科学」を豊富な写真を用いてわかりやすく解説した本です。

実験の様子が見事に再現されていて、実際にファラデーの講演を聞いているような気分になりました。


僕は理系の出身ですが、炎についてここまで真剣に考えたのは初めて。

・なぜ炎はあんな形なのか?
・炎のどの場所でどんな反応が起きているのか?
・炎に影ができるのはなぜか?

など、いざ訊かれると答えに詰まる問いがいくつも提示され、自分の理解の甘さを反省しました。

大学では炎色反応も含め、かなり高度な化学実験もやっていたんですけどね……。

「ろうそくが燃える」という単純な現象からこんなに深い知見が得られるのかと、科学の面白さを改めて実感しました。

もしまた研究室に戻るチャンスがあるなら、レポートや卒論のことは気にせず、本質を追い求めてのびのび実験したいです。

ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~

終わってしまうかに思われた「ビブリア」が、まさかの新章突入!

我が家の本棚には全巻そろっていて、家族みんなでシリーズ継続を喜んでいます。


今作で取り上げられているのは、「金田一耕助シリーズ」で有名な、横溝正史。

僕は彼の作品をタイトルしか知らなかったので、栞子さんの解説に頼りました。

読後にネットで調べてみたら、実際に2017年に「雪割草」の原稿が見つかったというニュースを発見。

「ビブリア」では、実在する本が物語に巧みに組み込まれていて、リアルとフィクションの境目を感じさせない三上さんの手腕には、毎回感心させられます。

あれだけ書物の説明をしているのにスラスラ読めてしまうのも、よく考えるとすごいことですよね。


個人的に負けた気がしたのは、エピローグでの扉子さんの推理。

メインの事件の外側にもう一つ謎が隠されていて、読者への挑戦状みたいになっていました。

途中で謎に気づけなかったのが悔しい……。

でもまあ、この感覚がビブリアの楽しいところなので、シリーズが再開してくれて本当によかったです。

同時通訳者のここだけの話(Kindle Unlimited)

ベテラン通訳者である著者が、現場の舞台裏を自身の体験談を交えて紹介した本。

関根さんは国際会議から法廷通訳までこなす、プロ中のプロ。

数々のエピソードからは、高い語学力はもちろん、鋼のような強靭なメンタルをお持ちなのが伝わってきました。


通訳で大変だなと思うのが、どんなに専門的なテーマであっても、話し手と同じかそれ以上の理解が求められること。

政治経済、法律、科学など、案件に応じて必要な知識が変わってくるので、もともと幅広い教養がある人でないとやっていけない職業ですね。

仕事のたびに新しい知識を日本語と英語の両方の語彙で習得していく作業は、想像しただけでも頭が痛くなりそうです。


この本の最後には、付録として逐次通訳でのノートテイキング(メモ取り)の技法が載っていました。

略語や記号の使い方は独特で、通訳者が言語をどう捉えているのかを垣間見た気がします。

単語を省略するときに先頭と終わりのスペルだけを書くというのは、普段のメモでも役に立つかもしれません。

池上彰の世界の見方 ロシア(Audible)

池上彰さんが世界の国や地域について解説するシリーズのロシア編です。

以前「中国・香港・台湾」はKindleで読んだのですが、今回はAudible(オーディブル)で聴きました。

ナレーションを担当している白川周作さんの声は池上さんの本にぴったりで、僕はとても気に入っています。


Audible公式サイトはこちら


僕にとってロシアといえば、プーチン大統領がやたらと人気なイメージ。

歴史をたどりながらの解説を聴いて、彼の強さの秘密がやっとわかりました。

ぼやっとしか理解していなかった「ソ連」や「冷戦」についても、一つ一つの出来事を押さえていくと、言葉の輪郭がはっきりして、頭の中がスッキリ。

池上さんの本の感想では何度も書いていますが、もっと早く出会いたかった!


日本人として勉強になったのは、北方領土問題について。

ロシアと日本だけでなくアメリカも絡んでいると知り、交渉が進まない理由に納得がいきました。

また、ロシアが返還に応じないのは不当だと疑いもなく思っていたけど、過去を振り返ってみると、日本側もいろいろとやらかしてる……。

国際問題を中立的に考えるためには、きちんと歴史を学ばなければいけないなと、自分の無知を反省しています。


さいごに

ブログのアクセス記録を見ていると、ずっと前に書いた本の感想が、突然たくさんの人に読まれることがあります。

うれしいような、恥ずかしいような……。

誰かが見てくれているのを励みに、これからも読書記録を続けます!

※追記
9月分の感想も書きました。
 ↓