佐藤航陽『未来に先回りする思考法』を読んだ感想。未来は読める、勝負はそこから。

佐藤航陽『未来に先回りする思考法』を読んだ感想・レビュー。未来は読める、勝負はそこから。


AmazonのKindle Unlimitedで、佐藤航陽さんの『未来に先回りする思考法』を読みました。

2015年に書かれた本ですが、2020年現在でも違和感なし。

むしろ5年経った今だからこそ、説得力のある内容でした。

何が起こるかではなくいつ起こすか

この本では、テクノロジーの進歩によって、これから世界がどう変化していくのかが考察されていました。

佐藤さんの予測は、本の執筆から5年が経過した現在でも、社会のトレンドと合致。

きちんと原理を押さえて考えれば、未来の方向性はある程度見えてしまうんだなと感心しました。

このままの流れでいくと、宇宙Wi-Fiも衛星による地上の完全把握も、そのうち現実になるのかな?

プライバシーの概念が崩壊してしまいそうなのは怖いけど、新しい技術が次々実現していくと思うとわくわくしますね。


僕らが認識しておくべきなのは、テクノロジーの業界において、一定レベル以上の人たちの見据えるゴールは共通で、そこに至るまでの過程に必要な技術が生み出されるのは、可能性ではなく時間の問題だということ。

佐藤さんの「来るべき未来の到来をできる限り早める」という仕事観からは、使命感とともに焦燥感も伝わってきました。

たしかに、取り組むべき課題が分かっているのなら、とにかく早く解決したくなる気持ちは理解できます。

先月、イーロン・マスクの伝記を読んだときは、「この人生き急いでるなあ……」と思いましたが、未来をはっきり見通せている人にとっては、スピードは意識せざるを得ないものなのかもしれません。




人間 vs 機械?

未来の話の途中で取り上げられていたのが、「AIは人間を超えるのか」という議論。

佐藤さんは、技術の発達によって人間側も機械に近づいているのだから、人間と機械を対立軸で論じても意味がないと述べていて、なるほどなあ、と思いました。

実際、世の中を見回してみると、人間が機械の影響を受けて変容している事象はたくさんあります。


たとえば、将棋の世界では、プロ棋士がAIを駆使して棋譜を研究するのは当たり前。

本番での利用は禁止されているものの、棋士たちの頭脳に「機械の知恵」が混じっていることは否定のしようがありません。

本書では主に身体的な例が挙げられていましたが、知能面においても、日々人間の機械化が進んでいることは確かです。

まあ、これだけ機械に頼った生活をしているのに、人間が自然本来の姿を保っていると言い張る人はいないでしょうけどね。


森博嗣さんの『彼女は一人で歩くのか?』という小説では、人工細胞の移植を繰り返して長寿を得た人間たちと、生まれ持っての人工人間である「ウォーカロン」の区別があいまいになった社会が描かれていました。

まだまだSFチックに感じる話ですが、機械の能力が人間と肩を並べるようになるころには、人間も今とは違った存在に進化していそうです。




さいごに

こういう未来予測系の本を読むのは楽しいですが、自分が技術革新を生み出す立場にいないことは非常に残念に思います。

僕の体がもっと丈夫だったらなあ……。

とりあえず知識だけはアップデートしておいて、いつかの日か健康を取り戻したときに備えます。