【2020年7月】今月読んだ本の感想まとめ。森博嗣さんの読書論にブログを書く手が一瞬止まる。

【2020年7月】今月読んだ本の感想まとめ。森博嗣さんの読書論にブログの根幹を揺るがされる。


梅雨が長引いて、天気が不安定な日が多かった、7月。

自転車通勤の僕は、カッパを着ていくか否かで迷ってばかりで、精神的にも体力的にも疲弊しました。

それでも「晴耕雨読」という言葉に照らせば、読書日和にはなるのかな?

気を取り直して、今月も本の感想を書いていきます。


※補足
タイトルに「Kindle Unlimited」と付けている作品は、AmazonのKindle Unlimitedを利用して読んだ本です。

Kindle Unlimited公式サイトはこちら


読書記録(2020年7月)

校閲ガール(Kindle Unlimited)

ファッション雑誌に携わりたかったのに文芸の校閲部署に配属された、おしゃれ大好き女子が主人公の小説。

なじみのないファッション用語や文芸の知識が盛りだくさんにも関わらず、押しつけがましさがなく、軽やかに読める作品でした。

校閲をテーマにしているだけあって、文章についても、すごいなあ、と感心するところばかり。

いろいろ書いてもいいのですが、解説で角田光代さんが僕の言いたいことを僕以上にうまく言葉にしてくれていたので、ここでは割愛しておきます。


校閲の仕事は、やることが非常に多く、かつ細かくて、「そこまでチェックするのか」と驚きました。

これは修正点を指摘される作家さんも大変ですね。

近頃はKindleなどを使って個人でも簡単に本が出せるようになりましたが、やはりきちんとした出版社を通して作られた書籍は、内容の正しさの面でも、読みやすさの面でも格が違うなと感じます。

校閲者、おそるべし……。

思いつき無職生活(Kindle Unlimited)

27歳でなんとなく仕事を辞めた著者のコミックエッセイ。

思い付きで無職になってから、流されるまま再就職するまでの過程が、ゆるい絵で描かれています。

僕も大学卒業後3年ほど無職でしたが、ここまで全力でだらけられなかったなあ……。

働きたくない気持ちはわかるけど、目の死に方がひどい(笑)


個人的に共感したのは、仕事を探す場面。

バイトや派遣の仕事を紹介する人材関係の人って、決まってテンションが独特ですよね。

その有無を言わさぬ押しの強さに圧倒され、僕も現在の職場にたどり着きました。

いけださんや僕みたいに、周りに流されて仕事を始めた人は、世の中にたくさんいそうです。

彼女は一人で歩くのか?(Kindle Unlimited)

人工細胞で作られた人間、「ウォーカロン」が世間に広まり、本物の人間との境目があいまいになった未来を舞台にした物語。

スピード感のある展開で、僕には珍しく一気に読み終わりました。

以前読んだ森さんの『すべてがFになる』はものすごく時間がかかって、「この人の文章苦手だな」と思ったんですが……。

久々に同じ著者の作品を手に取ってみたら、印象が全然違ってびっくりです。


これは、森さんが小説を書きまくるうちに自然と作風が変化したのか、あるいは意識して読者の好みに寄せたのか?

いずれにせよ、一つの作品だけで作家さんと自分との相性を判断するのは危ないですね。


ちなみに、人間の「種としての寿命」をテーマにした話は、先月感想を書いたテッド・チャンの本の中にもありました。

それぞれ設定も切り口も異なりますが、「人類をどうやって存続させるか」という命題は共通。

SF系の小説で生命科学を扱うには、避けては通れない問いなのかもしれません。


関連記事:【2020年6月】今月読んだ本の感想まとめ。テッド・チャンの才気あふれるSFに舌を巻く。


ブログ・ブランディング(Kindle Unlimited)

このブログでも使用している「カエレバ」(商品を紹介するツール)の生みの親であるかん吉さんが、これからの個人ブログのあるべき姿を語った本。

コンテンツの有益さよりも、書き手としての信用が大事だという主張は、僕も同意見。

情報の量や質を追求すると、どうしても消耗しますからね。

「役に立つから」ではなく、「この人だから」という理由で読んでもらえたらうれしいです。


また、かん吉さんは、更新頻度が低くても、曜日を決めるなどして記事をアップするのを不定期にしないよう強くすすめていますが、このブログでは実践できていません。

こればっかりは、性に合わないな……。

僕は仕事の休みが流動的で、書いた記事をストックしておくのも嫌なので。

おそらくこれからも気まぐれ更新ですが、よろしくお願いいたします。


校閲ガール ア・ラ・モード(Kindle Unlimited)

『校閲ガール』シリーズの第2弾。

悦子の周りのサブキャラたちを主人公にした、スピンオフ的な短編集です。

1巻目を読んで気になっていた、米岡の素性や貝塚の本心など、悦子の視点ではわからない部分が描かれていてすっきりしました。


心に残ったのは、エリンギ部長の話。

名前は楽しげなのに、一人だけエピソードが重い……。

職場で年配の方を見かけると、「この人も何か背負ってるのかな?」と、つい訝ってしまいます。

ホワイトラビット

伊坂さんの筆が冴えわたる、ある夜に起きた籠城事件を描いたミステリー。

ネタバレしたらまずい作品なので、ストーリーに関しては、書くのを我慢しておきます。

とりあえず、僕は見事に騙されました。

大好きな空き巣の黒沢さんが活躍してくれてうれしかったことは、付け加えても差し支えないでしょう。


作中に出てきて非常に気になったのが、フランス文学の傑作、『レ・ミゼラブル』。

僕は舞台も映画も見たことがなくて、タイトルしか知りませんでした。

しかし、せっかくだから読んでみようと思って調べてみると、完全版は文庫本5冊分の大ボリューム。

角川文庫のように短めに訳しているバージョンもあって、どの出版社の訳で挑戦しようか悩みます。

読書の価値

人気作家の森博嗣さんが、自身の本の読み方や文章の読み書きについてのアドバイスをつづった一冊。

誇張ではなく、今まで読んだ読書論の中で一番の衝撃を受けました。

森さんは、「ネット上に本の感想を書く」という行為を真っ向から否定。

僕に対して語っているのではないかと、背筋がヒヤリとしました(汗)

読書記録は続けたいけど、やり方は見直す必要がありますね。


また、参考にしたいのが、本の選び方。

ベストセラーの小説ばかりではなく、マイナーな作品やノンフィクションにも積極的に手を出していこうと思います。

別に森さんになりたいわけではないですが、考え方には納得したので、大きく方針転換です。

ブラックマーケティング(Kindle Unlimited)

脳科学の観点からマーケティングを捉えると何が言えるのか、それぞれの分野の専門家が語っています。

仮説の段階の話ばかりで釈然としませんが、読み物としては楽しめました。


生体情報のマーケティングへの応用は、おそらく海外ではすでに研究が進められているはず。

ベストセラーになったユヴァル・ノア・ハラリさんの本でも議論されていたので、アイデア自体は一般にも広く浸透しているのではないでしょうか?




しかし、データの収集や購買行動との紐づけは、一筋縄ではいかなさそう。

とくに脳科学に関しては、前提となる測定技術がまだ心もとないですよね。

消費者としては、そんなにうまく商品を買わされても困るので、しばらくはこのままでいい気がします。


さいごに

最近、愛用のKindle Paperwhiteがフリーズし、画面が固まってしまうことがよくあります。