夢の中でトイレを探す。おねしょ一歩手前の攻防。

毎晩夜中の3~4時頃になると、必ず一度は目を覚ます。

トイレに行って用を足し、また戻って布団にもぐる。そのまま、眠っているのかいないのか、曖昧な時間をしばらく過ごし、朝が来る。

数年前の長期入院の後から、ずっとそんな生活を送っている。

おそらく、ぐっすり眠るのにも体力がいるのだろう。

気持ちよく朝を迎えられたころが懐かしいが、体全体の筋力が著しく低下してしまったのでしょうがない。


冬になると、この「夜中のトイレ」にずいぶんな気力を消費する。

尿意を感じたらさっさとトイレに向かえばいいのだが、寒さでなかなか布団から出られない。

おしっこを我慢したまま悶々とする、不毛な時間が流れていく。

そんなとき、うっかり眠りに落ちてしまうと、決まって同じパターンの夢を見る。

それが、トイレを探す夢。

夢の中で、僕は必死になってトイレを目指すのだが、誰かが入っていたり、故障していたりして使えない。


実は、母も似たような夢を見るそうで、ギリギリのところで目覚めて慌ててトイレに行くとのこと。

さすが、家族。

起き上がれば家のトイレは空いているのに、親子二人して夢の世界をさまよっているのである。


だが、誰にも言っていないが、僕の夢には母とは違って、まだ続きがある。

僕は必ず使用可能なトイレにたどり着き、放尿してしまうのだ。

いつもすっきりした後に目が覚め、焦ってズボンを触り、やらかしていないかを確認。今まで実際に漏らしたことはないが、非常に危うい。

いつか夢が現実になってしまう日が来るのだろうか?

危険な夢に引きずり込まれる前に、寒さに負けず毛布を払って立ち上がれるか、今夜も僕の勇気が問われる。