【2021年7月】今月読んだ本の感想まとめ。小説もブログも読まれる文章には戦略が欠かせない。

【2021年7月】今月読んだ本の感想・レビューまとめ。小説もブログも読まれる文章には戦略が欠かせない。


プライムデーに新しいKindle Paperwhiteを買ったので、最近はKindleを新旧2台持ちで読書しています。

古い機種はどうしようかと思っていたけど、2台あると使い分けができて便利ですね。

それでは、今月も本の感想を書いていきましょう!


※補足
タイトルに「Kindle Unlimited」と付けているのは、AmazonのKindle Unlimitedを利用して読んだ本です。



読書記録(2021年7月)

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

イギリスで暮らすブレイディみかこさんが、中学生になった息子の学校生活を描いたノンフィクションです。

イギリスの学校は、日本の学校とは、運営のされ方も学ぶ内容も大違い。どちらがいいのかわからないけど、嘘偽りのない生々しさがありました。

人種や階級による格差が平然と存在する環境は、日本人の感覚としてはヘビーで、そこで育つ子供たちは精神的に強くたくましくなりそうです。

実際、著者の息子さんはとてつもなく大人びていて、度々、彼がまだ中学生であることを忘れました。

達観した物言いは、伊坂幸太郎作品の登場人物みたいです。


また、ブレイディさんによる「sympathy」と「empathy」の意味の説明はお見事。

僕もそこそこ英語を勉強していますが、そういう考え方ができるのかと感心しました。

テンプレート式 超ショート小説の書き方<改訂新版>

小説を書く練習ができるドリル的な本が欲しくて買ってみました。

正直、例として紹介されていた作品はいまいちだったけど、概ね期待通りの内容。

これを応用して長編に……というのは難しそうですが、アイデアを出すトレーニングにはなります。


個人的には、きっちりした小説が書きたいなら、後述する『人の心を動かす ストーリーの作りかた入門』の方を参考にするのがおすすめ。

ストーリーの構成やキャラの役割について、より本質を突いた解説がなされています。

いずれにせよ、本を読むだけではダメで、何かしら自分で作品を書かないと始まりません。

僕も人のことは言えないですが、必ず手を動かしましょう!

人の心を動かす ストーリーの作りかた入門(Kindle Unlimited)

小説や漫画に限らず、あらゆる「ストーリー」に通じる創作のコツが述べられています。

コンパクトながら、つい何か所もハイライトをしてしまう、中身の詰まった一冊でした。

「CQ(セントラルクエスチョン)」という言葉はどこかで聞いた覚えがありますが、これほど丁寧に掘り下げた説明は初めてです。


読んでいて感じたのは、人を引き付ける物語は、才能がなくてもある程度はパターンで作れるということ。

その土台となるキャラクターや世界観をどれだけ魅力的に作りこめるかで、作品の真価が問われるわけですね。

松岡圭祐さんが『小説家になって億を稼ごう』で紹介していた「創造」という手法も面白かったですが、この本のようにストーリーの流れに沿って人物や出来事を配置していく方が、僕にはやりやすそうです。



腐女医の医者道!(Kindle Unlimited)

3人の子を持つ母でありながら、外科医として働くさーたりさんのコミックエッセイ。

予想したより「腐」ではなく、普通に優秀なお医者さんだなと思いました。

外科医の仕事は超絶ハードで、体力とか頭の良さとは別次元のバイタリティー。手術中に雑談できる肝の据わりっぷりには驚きます。


知らなかったのは、外科医が病理医に提出する検体の整理まで行うこと。オペの後にも大変な作業が残っているとは……。

病院は好きではないけど、医療従事者の方々の献身には感謝!

作家の収支

多作で知られる森博嗣さんが、作家としての収入を具体的な「データ」として公開しています。

印税の額の大きさはもちろん、19年で280冊という異常な刊行ペースに唖然としました。

1時間に6000文字書けるなんて、人間業じゃないよ……。


ただ、小説を書いて稼いでいくには、森さんほどではないにしろ、コンスタントに作品を出し続けることが必須条件なのはわかります。

新作を発表することは、過去の著作を売るための行為でもあるわけですね。

小説を、お金のためと割り切って戦略的に書く森さんのスタイルは、かっこよくて憧れます。

Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]

Kindle本の日替わりセールで500円になっていたのを発見し購入しました。一応このブログもAdSenseの審査には通っているので、参考までに。

意外と知っている内容が多く、僕もブログ初心者ではないんだなあ、としみじみ。

ブログを長く続けていると、無駄に知識だけは増えていきますね。まあ、実行できているかと問われると、話は別なのですが……。


そもそも、この「たなからぽんっ!」はテーマが定まっていない雑記ブログで、あまりアドセンスには向いていません。

この本がすすめているように、本気でアドセンスで稼ぎたいなら、目指すべきは「オーソリティサイト」です。


僕にはこれといった肩書もないし、仕事は守秘義務が厳しくて、詳しい業務内容は明かせず。

広告の貼り方や記事構成で悩む以前に、どうやったら専門性の高いコンテンツを生み出せるかを考えなくてはなりません。

権威性とか信頼性とか荷が重いので、結局このままだらだらと個人ブログを書いて終わりそうです。

悲観する力

森さんの推奨する「悲観」の定義は、「AならばB」という決まりきった考えや思い込みを疑うこと。

「どうせうまくいかないし……」みたいな、いわゆる「ネガティブ思考」とは全く別物で、あらゆる事態を想定して、事前に対策を打っておくのがポイントです。


身に染みた指摘は、以下の2点。

・「悲観」は感情ではなく理性で行う
・過去を悲観して未来を楽観するのが最悪のパターン

僕はくよくよ悩んで思考停止してばかりなので、一歩進んで「じゃあどう動くべきか」という具体的な対処法まで導き出せるようにしたいです。

In Five Years(洋書)

Amazonの商品ページの紹介文に「あなたが予想しているラブストーリーとは絶対に違う」と書かれていて、本当にその通りでした。

主人公が見た「5年後の未来」がどう現実になるのかが肝ですが、予想に反して悲しい結末。

同じベッドシーンでも、意味付けが変わるだけで全く別の感情が生まれました。


不憫でかわいそうだったのは、主人公の恋人のDaivid。

自分が傷つかないために築いた「優しさ」という名の防御壁が、この先も彼と他人との接近を阻みそうです。


また、この小説は、主人公視点の現在形で書かれているのが特徴。

英語の物語はたいてい過去形なので、臨場感があって新鮮でした。

過去形と現在形が混在しても違和感のない日本語と違い、時制の厳格な英語で長編小説を書くのは大変だろうなと思います。



オブジェクト指向でなぜつくるのか 第3版

ソフトウェア開発における「オブジェクト指向」について、下流に当たるプログラミング技術から、上流に当たるシステムの企画や要件定義での応用例まで、幅広く解説した一冊です。

一つ一つの項目にはそこまで深く突っ込んでいませんが、オブジェクト指向の核となる概念や用語については、図を使って(ちょっとくどいくらい)丁寧に説明されていました。


とくにためになったのは、オブジェクト指向プログラミングでのメモリの使われ方。

以前Unityをかじったときに、インスタンスやメソッドについては理解したつもりだったけれど、データの格納場所までは意識していなかったです。


ちなみに、この『オブジェクト指向でなぜつくるのか』は、今まで読んだ日経BP社のシリーズの中で断トツで読みやすかったです。

ネットワークはなぜつながるのか』などが難しくて途中で挫折した人(僕みたいに)でも、きっと完読できるでしょう。

(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法

タイトルが図星過ぎて衝動買い。

とくにKindle Unlimitedを始めてからは光文社古典新訳文庫を何冊も読みましたが、ぶっちゃけよくわからん!というのが本音ですね。




本書では、全部で20の名作が取り上げられていて、僕がきちんと内容を知っていたのは5作品でした。

いろいろな読み方のテクニックが紹介されていたけれど、結局、小説を楽しむ一番の基本は、自分から能動的に文章に向き合う姿勢。

作者の意図を考えつつ、自分なりの解釈を加えることで、それぞれの読者の頭の中で作品が完成するのだと思います。


また、僕は『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』も読んでいて、三宅さんの親しく語りかけるような文体が大好きです。

こんなに「読ませる」書評を書ける人、他にいるだろうか?


さいごに

僕はクローン病で食事に制限があるため、食べ物の分、本には自由にお金を使っていいと決めています。

とはいえ、今月はちょっと調子に乗り過ぎたかな?

ブログや小説を書いて、書籍代をカバーできるくらいの金額を稼ぐのが、僕の当面の目標です。


※追記(2021/8/31)
8月分の感想も書きました。
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