【2024年8月】今月読んだ本の感想まとめ。作者も登場人物も才能ある人多すぎる。

【2024年8月】今月読んだ本の感想・レビューまとめ。作者も登場人物も才能ある人多すぎ。

暑い、暑い、暑い~~~。

はい、というわけで今月も本の感想を書いていきます。


※補足
タイトルに「Kindle Unlimited」とつけているのは、AmazonのKindle Unlimitedを利用して読んだ本です。Kindle Unlimitedの読み放題対象作品は変更される可能性があるので、ダウンロードの際はご注意ください。

Kindle Unlimited公式サイトはこちら


読書記録(2024年8月)

地雷グリコ


学園版の『LIAR GAME』みたいな作品。

ルールの盲点(というかギリギリ外側)を突いて勝利していく感じは『ジャンケットバンク』にも近いですね。

個人的によいなと思ったのは、ゲームがすべて1対1の個人戦で理解しやすいこと。そして、ゲームが発生するシチュエーションが毎回異なり、マンネリになっていないこと。

最初はゆるふわな物語が、段々賭けるものが大きくなって、真剣みを増していくのが面白かったです。

ただ、直木賞候補になってたけど、エンタメ一直線で、直木賞に選ばれるタイプの小説じゃないよなあ……。(本屋大賞は取れそう)

ラクロス部の塗辺くんはゲーム運営者として有能すぎて最高でした。

スペードの3(Kindle Unlimited)


「ファミリア」の存在自体がインパクト強すぎで、背筋がぞわっとしました。

朝井リョウ作品にはよく、主人公の無自覚な(あるいは見て見ぬふりをしている)脆弱性を無慈悲なほど明確に言語化して教え諭してくる「説教女子」(勝手に命名)が登場しますが、今回は「早くファミリアの滑稽さを指摘してくれ」と祈りながら読みました。

最近社会的に受け入れられつつある「推し活」文化も、集団になるとちょっと「痛い」なと思います。


本作は構成の妙や修辞トリックが際立っており、僕としてはかなり好きな作品。

中でも「私、いま、読み飛ばした。」の一文には刺されました。

つかさ様のおかげで、これからはもっと気楽にブログを書けそうな気がします。

永遠についての証明(Kindle Unlimited)


才能に翻弄される数学者の葛藤と孤独を描いた作品。

以前にブログに「死ぬまでに証明を見たい」と書いたコラッツ予想の話がいきなり出てきてビビりました。

まさか小説のメインの題材として取り上げてくるとは……。

信頼していた人たちとすれ違い続け、落ちぶれていく「天才」の姿は、見ていて痛々しかったです。


関連記事:この目で確かめるまでは死ねない!意地でも生き延びて見届けたいことまとめ。

許されようとは思いません(Kindle Unlimited)


人の心の弱さや狡さ、残酷さを駆動力にぐいぐい読ませてくる短編集。

これが「イヤミス」に該当するのかはわかりませんが、「ヤダ、もう~」とは何度も思いました。

落ちがはっきりしているおかげで、読後に鬱屈した感情を引きずらなくてすむのがせめてもの救いです。


一番心がざわついたのは、『姉のように』。

同じ行動でもその人の背負っている情報によって周囲からの見え方が変わるということを身をもって体感できる、すごいけど恐ろしい作品でした。

仕掛けとは関係なく、主人公が子育てに追いつめられていく様が真に迫り過ぎていて怖かったです。

Diary of a Wimpy Kid: No Brainer(洋書)


爆笑。

いつの間にか18巻目まできてたけど、相変わらず笑ってしまいました。

久しぶりに1巻丸々学校を舞台にした話で、原点に返ってきたような気がします。

さすがにここまでぶっ飛んではいないだろうけれど、学校が資金繰りに苦労してたり、生徒や教師が自由過ぎたりするのは、やっぱりアメリカならでは。

学校が企業とスポンサー契約を結んで広告まみれになっていく、という展開は現実にもありそうです。(というかもう起こっている?)

Amazonで調べたら、10月ごろには新刊が発売予定みたいなので楽しみですね。

丸の内魔法少女ミラクリーナ


世間とはズレ気味の価値観を持った女性たちが主人公の短編集。

表題作は、同じようなことをしている人は実際にいそう。男は中二病を引きずったまま大人になってる人ばかりだと思ってたけど、女性も大差ないのかもしれません。

2作目の『秘密の花園』は、やってることは行き過ぎでも、現実の生々しさに幻滅する気持ちはわかります。流行語になった「蛙化現象」は、突き詰めれば特定の相手というより、恋愛そのものに対する理想が崩壊する瞬間なのだと思います。

『無性教室』と『変容』は、社会に対する違和感を極端に押し広げたらどうなるのかを示した作品。個人的に、男女の区別や怒りの感情は、いくら時代が変わっても、消えずに残り続けると思います。どこまでいっても、しょせん人間は動物なので。

価値観の多様性はもちろん重要ですが、本心から受け入れられなくても尊重するポーズを取らないと批判される昨今の状況は、ちょっとどうかと思います。

ブロードキャスト


初めて読んだ「イヤミス」以外の湊かなえ作品。

最後まで爽やかな青春小説になっていて、『告白』や『Nのために』を描いた作者がこんな物語も生み出せるのかと感心しました。

ただ、事故の犯人が見つかっていない、という描写がちょこちょこあるのが気になるところ。

続編の『ドキュメント』は、もしかしてイヤミスなのか……。(読もうかどうか検討中)


放送部の活動内容に関しては全く予備知識がなく、ラジオドラマやテレビドラマまで制作しているということにびっくり。

実際に「Nコン」(作中では「Jコン」)の決勝進出作品はNHKのサイトで視聴可能になっており、もっと大々的にPRしたら放送部に入る人が増えるんじゃないかと思いました。

作中の正也もすごいけど、現実の高校生たちも負けてないですね。

参照:NコンWEB(NHK)

レオナルド・ダ・ヴィンチ(上・下)

ウォルター・アイザックソン (著), 土方 奈美 (翻訳)

ウォルター・アイザックソン (著), 土方 奈美 (翻訳)

ルネサンスを代表する画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記です。

画家としてのダ・ヴィンチだけでなく、舞台演出家や科学者、軍事アドバイザーなど多様な側面が、年代を追いつつ整理してまとめれられていて、非常に読みやすかったです。

ただ、やはり見入ってしまうのは、美へのこだわりと探求心に溢れる絵の数々。

ダ・ヴィンチ自身が記録魔だったおかげで大量のメモやスケッチが残っているわけですが、作品以外の「傑作」がたくさん存在するというのは面白いなと思います。


印象に残ったのは『最後の晩餐』の話。

損傷がひどくオリジナルの姿が正確にわからないのは残念ですが、見え方を考えてわざと構図を歪ませていたり、それを悟られないように物の配置を工夫していたり、表現の技法を画像で一つ一つ確認していくのが楽しかったです。


『モナリザ』に関しては、表情が変化して見える理由が科学的に説明できることに驚き。

ダ・ヴィンチの絵は単に描写がうまいだけでなく、見る人に与える印象まで徹底的に考え尽くされているのが素晴らしいです。


さいごに

先月のプライムデーに、思い切ってKindle Fireタブレット(10インチ)を買いました。

目が疲れるので長時間の読書には不向きですが、雑誌を読んだりカラーの画像を見るときは拡大がスムーズで便利。

来年のプライムデーにはまた安くなるはずなので、気になる人は試してみては?(無料で3か月分のKindle Unlimitedがついてくるのが地味に大きかったです)


先月読んだ本の感想はこちら。
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【2024年7月】今月読んだ本の感想まとめ。農家も紙の本も減るのは寂しい。


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