気づけば2022年も終わり間近。
というわけで、今年も発表、本棚大賞(第4回目)!(僕が勝手に作った賞です)
例年通り、この1年間で読んでよかった本をランキング形式で5作品紹介します。
いつものことながら、ジャンルは不問。個人的な好みで選ばせていただきました。
本棚大賞2022
第1位:Project Hail Mary(洋書)
今年の大賞に輝いたのは、宇宙を舞台にしたSF小説、『Project Hail Mary』。
話の構成、文章力、科学的説得力、読後感、英文としての読みやすさ、すべてにおいて満点で、非の打ちどころのない傑作でした。
さすがに褒め過ぎ?
でも、個人的にはそれくらい気に入った作品です。
驚かされたのは、著者の科学知識の豊富さと理解の深さ。
SF作品は、下手に理系の知識があると、どうしても粗が目についてしまうのですが、この『Project Hail Mary』はSFの「S(科学、science)」の部分が綿密に作りこまれているおかげで、「F(創作、fiction)」の部分を存分に楽しめました。
『Project Hail Mary』はすでに日本語訳も出ていますが、主人公がアメリカ人であることや英語そのものがキーになる場面があるので、やはり原著で読むのが一番良いと思います。
日本語版だと上下巻になっていて、お金もかかりますからね(笑)
僕としては、自信をもっておすすめできる洋書が1冊増えて、うれしい限りです。
タイトル通り「人体」についての知識を「これでもか!」と詰め込んだ1冊。
言ってしまえば雑学集なわけですが、話の持っていき方やねたの選び方が秀逸で、最後まで飽きずに読めました。
たぶん他の人が同じことをやろうとしても、こんなに面白くはならないでしょう。
興味深かったのは、意外なほど人体に関する研究が未成熟で、基礎的な事柄でも、議論に決着がついていなかったり、判明したのがつい最近だったりすること。
よくよく考えると、生きた人の身体を調べるのは倫理的に難しく、気になる事象があっても簡単には検証ができないのかもしれません。
紹介されるエピソードに狂気じみたお医者さんばかり登場することが、人体研究の大変さを物語っている気がします。
「東野圭吾ってすごい」と改めて思わされたのが、ガリレオシリーズの『沈黙のパレード』。
事件の真相にいたるまでの「引き」の多さが尋常ではなく、非常に「読ませる」作品でした。
家族も僕もあっという間に読み終わり、普段あまり本を読まない父でさえ、「気になり過ぎて、読むのがやめられない」と言っていたほど。
東野さんは新作を出すたびに小説の技術が洗練されていくようで、恐ろしい才能だなと思います。
『沈黙のパレード』はすでに映画が公開されていますが、小説を読むだけでも映像が頭に浮かびました。
こういう「本で読んだのか映画を見たのかあとで区別がつかなくなる」現象は、きっと僕の想像力の豊かさというより、作家さんの手腕の賜物なんでしょうね。
文章からイメージして描いてみた「キクノン」は、公式のキャラクターデザインと全然違って笑いました。
関連記事:【感想】あなたの想像するキクノンは?東野圭吾『沈黙のパレード』を読んで。
あるときから小鳥としか話さなくなった兄と、その兄と唯一意思疎通できる弟の物語。
小鳥の言葉がわかるからといって、何か大きなイベントが起きるわけでもなく、ただ静かに、社会とのつながりが希薄になっていく。
兄弟だけの世界から一歩踏み出そうとするたび跳ね返される主人公の姿は、切なくもあり、愛おしくもありました。
展開としては地味で、あまり万人受けする小説ではないかもしれませんが、僕は好き。
人におすすめしたいというより、心にそっとしまっておきたい作品です。
改めて見返すと、すでに内容を忘れかけている本も多くて、懐かしい……。
関連記事:【発表】第1回本棚大賞!2019年読んでよかった本ランキングトップ5。
関連記事:【発表】第2回本棚大賞。2020年読んでよかった本ランキングトップ5。
関連記事:【発表】第3回本棚大賞。2021年読んでよかった本ランキングトップ5。
さすがに褒め過ぎ?
でも、個人的にはそれくらい気に入った作品です。
驚かされたのは、著者の科学知識の豊富さと理解の深さ。
SF作品は、下手に理系の知識があると、どうしても粗が目についてしまうのですが、この『Project Hail Mary』はSFの「S(科学、science)」の部分が綿密に作りこまれているおかげで、「F(創作、fiction)」の部分を存分に楽しめました。
『Project Hail Mary』はすでに日本語訳も出ていますが、主人公がアメリカ人であることや英語そのものがキーになる場面があるので、やはり原著で読むのが一番良いと思います。
日本語版だと上下巻になっていて、お金もかかりますからね(笑)
僕としては、自信をもっておすすめできる洋書が1冊増えて、うれしい限りです。
第2位:コールセンターもしもし日記
「○○日記」シリーズは今まで5冊ほど読みましたが、現時点では「もしもし日記」が僕の中でのナンバーワン。
コールセンターの裏側がわかって面白いのはもちろん、同じ派遣で働く身として共感する部分がたくさんあり、親近感がわきました。
世代を超えても、派遣の不遇は変わらない……。
「それ、言っちゃって大丈夫?」と思うくらいはっきり会社の実名を出している(しかもたくさん)のは、著者が炎上しないかちょっぴり心配になる反面、読者としてはありがたいところ。
一口にコールセンターといっても、扱うサービスや担当する窓口によって業務内容が大きく異なるのは勉強になりました。
吉川さんはどんなタイプの電話対応もきっちりこなしていて、僕にはとても真似できないなと思います。
コールセンターの裏側がわかって面白いのはもちろん、同じ派遣で働く身として共感する部分がたくさんあり、親近感がわきました。
世代を超えても、派遣の不遇は変わらない……。
「それ、言っちゃって大丈夫?」と思うくらいはっきり会社の実名を出している(しかもたくさん)のは、著者が炎上しないかちょっぴり心配になる反面、読者としてはありがたいところ。
一口にコールセンターといっても、扱うサービスや担当する窓口によって業務内容が大きく異なるのは勉強になりました。
吉川さんはどんなタイプの電話対応もきっちりこなしていて、僕にはとても真似できないなと思います。
第3位:The Body(洋書)
タイトル通り「人体」についての知識を「これでもか!」と詰め込んだ1冊。
言ってしまえば雑学集なわけですが、話の持っていき方やねたの選び方が秀逸で、最後まで飽きずに読めました。
たぶん他の人が同じことをやろうとしても、こんなに面白くはならないでしょう。
興味深かったのは、意外なほど人体に関する研究が未成熟で、基礎的な事柄でも、議論に決着がついていなかったり、判明したのがつい最近だったりすること。
よくよく考えると、生きた人の身体を調べるのは倫理的に難しく、気になる事象があっても簡単には検証ができないのかもしれません。
紹介されるエピソードに狂気じみたお医者さんばかり登場することが、人体研究の大変さを物語っている気がします。
第4位:沈黙のパレード
「東野圭吾ってすごい」と改めて思わされたのが、ガリレオシリーズの『沈黙のパレード』。
事件の真相にいたるまでの「引き」の多さが尋常ではなく、非常に「読ませる」作品でした。
家族も僕もあっという間に読み終わり、普段あまり本を読まない父でさえ、「気になり過ぎて、読むのがやめられない」と言っていたほど。
東野さんは新作を出すたびに小説の技術が洗練されていくようで、恐ろしい才能だなと思います。
『沈黙のパレード』はすでに映画が公開されていますが、小説を読むだけでも映像が頭に浮かびました。
こういう「本で読んだのか映画を見たのかあとで区別がつかなくなる」現象は、きっと僕の想像力の豊かさというより、作家さんの手腕の賜物なんでしょうね。
文章からイメージして描いてみた「キクノン」は、公式のキャラクターデザインと全然違って笑いました。
関連記事:【感想】あなたの想像するキクノンは?東野圭吾『沈黙のパレード』を読んで。
第5位:ことり
あるときから小鳥としか話さなくなった兄と、その兄と唯一意思疎通できる弟の物語。
小鳥の言葉がわかるからといって、何か大きなイベントが起きるわけでもなく、ただ静かに、社会とのつながりが希薄になっていく。
兄弟だけの世界から一歩踏み出そうとするたび跳ね返される主人公の姿は、切なくもあり、愛おしくもありました。
展開としては地味で、あまり万人受けする小説ではないかもしれませんが、僕は好き。
人におすすめしたいというより、心にそっとしまっておきたい作品です。
過去の本棚大賞
参考までに、過去の本棚大賞の記事へのリンクを貼っておきます。改めて見返すと、すでに内容を忘れかけている本も多くて、懐かしい……。
関連記事:【発表】第1回本棚大賞!2019年読んでよかった本ランキングトップ5。
関連記事:【発表】第2回本棚大賞。2020年読んでよかった本ランキングトップ5。
関連記事:【発表】第3回本棚大賞。2021年読んでよかった本ランキングトップ5。
さいごに
最近はKindleで本を読む機会が増えましたが、今回紹介した『沈黙のパレード』や『ことり』は電子化されておらず、紙の文庫本を購入しました。
『Project Hail Mary』も図書館の洋書コーナーでペーパーバックを借りて読んでいて、まだまだ紙の本は大切だなと思います。
Kindle本と紙の本、どちらも分け隔てなく楽しんで、来年もまた素晴らしい作品に出会えますように!
『Project Hail Mary』も図書館の洋書コーナーでペーパーバックを借りて読んでいて、まだまだ紙の本は大切だなと思います。
Kindle本と紙の本、どちらも分け隔てなく楽しんで、来年もまた素晴らしい作品に出会えますように!